FOLLOW US

UPDATE|2019/07/15

大森靖子からモーニング娘。'19の武道館公演に愛をこめて「全員が音楽の天使に見えました」

題字/大森靖子



でも別にそれでいい。必ずしもそこがゴールだなんてつまらない時空ではない、もっと美しいもの、もっと見たことないもの、もっと自分のすべて、自分が把握する以上の自分を、たくさんの人の前で魅せてくれる人、それがアイドル。女性ライブアイドル。

その頂点は今、間違いなく、モーニング娘。’19です。正直私はミュージシャンなので、自分が自分で思うカッコいいライブの最高値を自分で構築しているわけなので、どうしても心酔できるほどの感動にはなかなか出会えないんですよ。理想は自分で体現しているから。

それでもアイドルのライブは、音楽にダンスに表情の表現に長い青春全部賭ける美しさが掛け算されるので、それはそれは尊いものなのですけど、モーニング娘。の今のコンサートは単純に音楽IQがバカ高く、メドレーのミックスも凄まじいし、つなぎで披露される曲は前の曲からコードが絶対に下がらないような構成になっていたり、派手な演出がなくとも成り立たせる強さとか、そもそも楽曲が半端なく強いんですけど、先日行われた日本武道館公演で、もう完全にほぼ全員が覚醒に近づいていて、“モーニング娘。プラチナ期”の特有のコンサート会場の音楽の熱狂を思い出したし、譜久村聖さんの地道な努力で得た安定感、佐藤優樹さんのゾーンに入る能力って本当にバランスが良く、譜久村さんのHPが満タンの前半と、佐藤さんが音楽と愛を浴びて完全にスイッチが入っている後半、その全編にわたって自分の色気を充満させた甘く太く濃い声の小田さくらさん、そして現在いちばん新しいメンバーの横山玲奈さん(※1)が新鮮なキラキラをまぶしていて、なんというバランス、グループとしてマジで仕上がりまくってて、こんなん敵う人いないと思ったし全員が音楽の天使に見えました。

※1「いちばん新しい」は“ハロプロ加入が”の意味。14期メンバー・森戸知沙希は2014年からカントリー・ガールズのメンバーとして活動している(現在はモーニング娘。と兼任)。

(『月刊エンタメ』2019年8月号掲載)

▽大森靖子(おおもり・せいこ)
1987年生まれ、愛媛県出身のシンガーソングライター。重度のハロヲタ。最近は欅ヲタとしても活動中。敬愛する銀杏BOYZ・峯田和伸との共作曲『Re: Re: Love 大森靖子feat.峯田和伸』が発売中。
CREDIT

文/大森靖子 構成/河上拓


RECOMMENDED おすすめの記事