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UPDATE|2019/08/11

「モーニング娘。になれてよかった」プラチナ期に亀井絵里が選んだ“自分を大事にする生き方”

モーニング娘。年代記 第14回



2人が自ら選んでいた「自分を大事にする生き方」。それは後に社会全体でも同様の選択やその尊重が増えていくことになるのだが、なぜそうなったかといえば、後に災害という出来事があり、人々がSNSを通じて生き方や考えをより積極的に共有するようになっていった末のことである。つまり“震災前”の日本社会は、「自分を大事にする生き方」を常識として受け入れるにはまだ、早い段階でもあったのだ。

ではなぜあの2010年の時点で、宇多田ヒカルと亀井絵里はSNSによる社会変化を待つことなく、「自分を大事にする生き方」をすでにしっかりと創造できていたのだろうか。それは彼女たちがSNSの普及を待たずとも、長年の芸能活動を通じて家族でも友達でもない第三者への深い信頼を、早い時期からその心に強く感じていたからであろう。

「今回のことでも、また私を信じて待っててくれるんだと思うと、安心して『人間活動』に専念できます」(宇多田ヒカル)(※3)

「私がここまで来れたのも、ファンの人たちがいてくれたからで、卒業するっていう勇気を持てたのも、ファンの人がいてくれたからこそ」(亀井絵里)(※2)

そして実際に宇多田ヒカルはその後5年に渡って全ての活動を休止し、亀井絵里にいたっては今もなお、芸能活動を休止したままだ。しかし亀井絵里はきっと、今もどこかで前向きに暮らしている。そう思えるのは2010年末、やはりグループ卒業を決めた8期メンバーのジュンジュン、リンリンとともにラストステージに上がった亀井絵里が、最後の挨拶で次の10年に続く歴史の新たな種を、自ら蒔いていったからだった。

「モーニング娘。になれてよかった。メンバーと頑張って来てよかった。ファンの皆さんと出会えてよかった。そして、自分が亀井絵里として生まれてきてよかった。モーニング娘。は永遠の愛の形。いつまでも、いつまでも、私の宝物です」(亀井絵里)(※5)



※1 「Hello! Project 2010 SUMMER ~ファンコラ!~」(2010年8月8日)
※2 「亀井絵里写真集 『THANKS』」(ワニブックス)
※3 Hikaru Utada Official Website
※4 テレビ朝日『MUSIC STATION ウルトラFES 2016』(2016年9月19日)
※5 「モーニング娘。コンサートツアー2010 秋~ライバルサバイバル~ 亀井絵里・ジュンジュン・リンリン卒業スペシャル」(2010年12月15日)
CREDIT

乗田 綾子


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