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UPDATE|2019/09/23

「笑顔と元気」2011年のモーニング娘。が見つけた自分たちの真価

モーニング娘。年代記 第15回

アイドルは時代の鏡、その時代にもっとも愛されたものが頂点に立ち、頂点に立った者もまた、時代の大きなうねりに翻弄されながら物語を紡いでいく。結成から20年を超えたモーニング娘。の歴史を日本の歴史と重ね合わせながら振り返る。『月刊エンタメ』の人気連載を出張公開。15回目は2011年(前半)のお話。


2011年3月11日、14時46分。誰も経験したことのない揺れが東日本各地を襲ったその瞬間、アイドルグループ・モーニング娘。は1週間後に迫った全国ツアーの初日に向け、東京都内でリハーサルを行っていた。

「メンバーは全員一緒にいたんですけど、(スタジオ内も)すごい揺れました」(高橋愛)(※1)

2011年3月のモーニング娘。は9人。盟友の卒業をもって“プラチナ期”に別れを告げた高橋愛、新垣里沙、道重さゆみ、田中れいな、光井愛佳の先輩メンバーに、譜久村聖、生田衣梨奈、鞘師里保、鈴木香音の9期4人が合流して、やっと3カ月目に突入した頃である。

この時期ブログをすでに開設していた高橋、新垣、道重、田中は、地震発生から半日ほどが経過した3月11日深夜、心配するファンに向けて相次いでグループの無事を報告している。そして彼女たちは引き続き翌12日もツアーリハーサルに向かうのだが、同じ日に被災地では、激震や津波による直接的被害に加え、福島第一原子力発電所において深刻な原子力事故が発生。原発の1号機が白い煙を上げて爆発した瞬間、それまで国民1人ひとりの中にあった日常はもう戻れぬ過去となり、「当たり前」は自然の猛威の前に、あっけなく崩れ落ちていった。

あの大震災がもたらした「当たり前」の喪失。2011年のモーニング娘。の場合、それはたくさんの観客を笑顔にし、明日への力をわけあう「ライブ」の存在を指していたのかもしれない。当時のブログを読み返してみると、3月12日を最後に、各ブログからリハーサルという言葉が一斉に姿を消している。そして4日後の3月16日には同月中に行われるはずだったツアー3公演、またさらに数日後には4月に予定していた東北2公演の開催中止も発表されるのだ。

もちろん地震直後はライブどころではなく、メンバーたちも被災地の状況に大きなショックを受けており、実際に新垣はこの時期「ツアーそのものの中止も覚悟していた」(※2)と語っている。

ただ、大きな悲しみに打ちひしがれ、3月11日以降ずっと募金や節電の呼びかけだけを発信し続けていたモーニング娘。は、ブログを読み進めていくとある頃を境に、だんだん届ける言葉が変わっていったことに気づく。もっとも分かりやすい境界線は3月19日に更新された、道重さゆみのブログである。

AUTHOR

乗田 綾子

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