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UPDATE|2019/09/28

「つんく♂イズムはヤワじゃない」劔樹人が見る、変わり続けるハロー!プロジェクト

上段左からモーニング娘。'19、アンジュルム、Juice=Juice 下段左からこぶしファクトリー、つばきファクトリー、BEYOOOOONDS



──今は歴史の転換期だと思うんです。つんく♂さんの薫陶を受けたハロプロエッグ1期生の和田彩花さんが卒業したことで、つんく♂イズムが薄れるのではないかと心配する声もあります。

劔 その点に関しては、僕はあまり心配していないんですよね。ちょっとやそっとで崩れるほど、つんく♂イズムはヤワじゃないでしょう。それはよく言われるような16ビートのリズムを強化するレッスンのことだけじゃなく、たとえばつんく♂さん特有の女性観。男側から見た理想の女の子を描くのではなく、女の子のリアルな気持ちに寄り添った歌詞ですよね。女性を1人の人間として尊重し、自立していく過程を応援したりとか。そういう思想が歌詞の中に入っていて、それを小さい頃から歌っているのだから、メンバーだって必ず影響を受けるはずです。

──つんく♂流フェミニズムですね。

劔 そういうことです。でも、こういった女性観は世界的には当たり前になっていて、日本でもますます重要になっていくことは間違いない。そうなるとハロプロがやって来た女性観はもっと世の中で大事になっていくだろうし、もっと支持されていくはずなんですよ。さらにここからがポイントなんですけど、その女性観を今は児玉雨子さんや山崎あおいさんが引き継いでいるんです。彼女たちはリアルに若い女性だし、歌詞の当事者に近いわけじゃないですか。女性当事者による表現はハロプロにとっても、すごく大きな強みになると思うんです。児玉さんの歌詞には、つんく♂さん流の女性観が根底にあるのと同時に、明らかに今を生きている若い女性じゃないとキャッチできない感覚が随所に見受けられると思います。そして、その世界観を若いハロプロのメンバーたちが歌う。これは非常に意義があることだと感じています。

──つんく♂イズムを受け継ぎつつも、アップデートしているということですか。

劔 僕はハロプロが100年続いてほしいと考えている人間なんですよ。そういう面でいうと、つんく♂さんだけに頼っているようじゃ100年は続かない。アップフロントのスタッフさんだっていつかは変わっていくわけですしね。そんな中、若い山崎あおいさんが書いたJuice=Juiceの『「ひとりで生きられそう」って それってねぇ、褒めているの?』が世間で話題になった。それはこの曲で描かれている女性の生き様が、女性に支持されているからだと思うんです。おそらくこの歌詞は、当事者だからできたものだと思うのです。まあ、50代の男性であるつんく♂さんが今まで中学生女子の感覚でそれをやって来たのがすごいとも言えますが(笑)。

AUTHOR

小野田 衛


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