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UPDATE|2019/10/10

“孤独を孤立させない” 異端児アイドル・ZOC誕生秘話「口約束だったから本当にやるのか分からなかった」

左から西井万理那、藍染カレン、兎凪さやか、香椎かてぃ 撮影/河野優太

シンガーソングライターの大森靖子を中心に、様々な過去を持った個性豊かなメンバーで構成されたアイドルグループ・ZOC。大森が手掛けるメロディアスかつハートを貫く楽曲に、彼女たちのカラフルなビジュアルと異端的な雰囲気が合わさり、今若い世代を中心に支持を受けている。そんな彼女たちの始まりとは。


 9月9日にZepp Tokyoで開催された初ワンマンライブは満員御礼。レーザービームを多用したカラフルな演出もさることながら、広いステージを活用したアクロバティックなダンス。大森靖子、藍染カレンを中心に据えた鬼気迫るボーカル。メンバーのキャラクターに寄り添って大森が作ったソロ曲の披露と盛りだくさんの内容で、集まった観客を熱狂させた。アイドルグループの概念をぶち壊すようなエネルギッシュなパフォーマンスは、ワンアンドオンリーと呼ぶに相応しい。

 そもそもZOCは誕生から異色のアイドルグループである。アイドル好きとしても知られるシンガーソングライターの大森が自ら声をかけて集めた5人のメンバーは、夢半ばで道を断たれたアイドル、少年院帰り、ホームレス経験のあるヤンキー、引きこもり、コンプレックスだらけの現役女子大生と、際立った個性を持つ者ばかり。

 ユニット名の由来となるのは、「支配領域」という意味を持つゲーム用語「Zone of Control」。ZOCの提唱するテーマは「孤独を孤立させない」である。ともすれば一般社会から弾かれてしまうようなメンバーたちが集まり、その個性を尊重しながらも、共生する場所となっている。大森はプロデューサー的な立場ながらも、あくまでメンバーと同じ立ち位置で、自らを“共犯者”と名乗る。

 唯一無二のメンバーに共感するファンは日増しに増えている。自由奔放に快進撃を続けるZOCにぜひ注目してほしい。
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──まずはわずか結成1周年で成功した初ワンマンライブを振り返っていきたいのですが、本番前はどんな雰囲気だったんですか?

西井 私が一番うるさかったよね? 「わー!」って叫んでた。

藍染 うん。珍しくにっちゃん(西井)が緊張して。いつもは一歩引いて、みんなを見守っているんですけどね。

西井 普段のライブは「ノリで行けるっしょ」って感じなんですけど、“ワンマンって緊張するもの”だって自分の中のイメージがあったせいか、誰よりも緊張しました。

藍染 私は何に緊張していいのかも分からないぐらいの状態でしたからね。

──アンコールでは、兎凪さやかさんが号泣してたのが印象的でした。

兎凪 自分に自信がなくて、ステージに立つこと自体が怖いなって思った時期があったんです。でもワンマンの終盤で「ライブ超楽しかった」って感情になって。友達、家族、運営さん、メンバー、来てくれたみんなと、ZOCを応援してくれる人たちのおかげでワンマンができて、なんて私は幸せなんだと思ったら、自然と涙が出てきました。

CREDIT

取材・文/猪口貴裕 撮影/河野優太


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