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UPDATE|2019/10/12

オーディション時に秋元康が見抜いた“SKE人間” 高柳明音の可能性[10年半の軌跡を振り返る]

卒業を発表する高柳明音(中央) (C)2019 Zest,Inc.


 高柳の所属していたチームKIIは、オリジナルの公演をもらえる約束がされてはいたのだが、一向に歌詞が届かず、延期されてばかり。これに業を煮やした高柳は、チームのリーダーとして誰も予想していなかった場で、直接アピールしたのだ。高柳はこの本番直前にチームリーダーに就任していた。

「秋元先生! 私たちに公演をやらせてください!」

 高柳はそう叫んだ。後日の取材で、「だいたいあの人だなって思いながら、その人しか見ずに言った」と、秋元氏だけを見据えて叫んだと明かしてくれた。この年の10月1日、KIIはオリジナルである「ラムネの飲み方」公演をスタートさせた。高柳の直訴が実ったのだ。のちのインタビューで、秋元氏は高柳の行動を「勇気がある」と評価した。

 その後の総選挙で、ランクインしたメンバーが高柳のように何らかの直訴をするという光景が何度か見られたが、高柳ほどのインパクトは残せなかった。何事も最初に突破する人が一番美しい。

 この行動によって、高柳の“格”は上がった。一期生の松井珠理奈、松井玲奈に並び、下の名前の頭文字を取って、3人は「JRA」と称された。

 チームばかりかグループを代表する立場になった高柳は、仲間たちの信頼を得た。仲間だけではなく、大人たちも彼女には一目置いている。それは今も変わらない。裏づけるエピソードを挙げよう。

 昨年5月、AKB48は牧野アンナプロデュース「ヤバイよ!ついてこれんのか?!」公演を始めた。姉妹グループのメンバーは入れずに、AKB48単独で行われている公演だが、牧野アンナ氏はツイッターで、「実はSKEからも入れたいメンバーがいた」とつぶやいた。

 牧野アンナ氏を取材する機会があったので、「それは誰ですか?」と聞いてみると、「斉藤真木子と高柳明音」と答えてくれた。「高柳はもともと尊敬している」とも話してくれた。レッスン中に高柳がメンバーに伝える言葉が実に的確で、そのあたりを評価していたようだった。鬼軍曹とも称される、一流の振付師が一人のメンバーをここまで称賛するのは極めて珍しい。

 その内容を誌面に載せる前に、高柳と握手会の舞台裏ですれ違ったので、この事実を伝えた。すると、よほど嬉しかったのか、「あー、泣いちゃう泣いちゃう!」と目に涙を溜めた。
AUTHOR

犬飼 華


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