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UPDATE|2019/10/27

石破茂 元防衛相の考える「自民党政権の危うさ」と「地方創生の大切さ」【井上咲楽の政治家 直撃】

左から井上咲楽、石破茂 撮影/荻原大志



井上 逆風が吹いても強い党になるにはどうしたらいいんでしょうか?

石破 有権者との間にどれだけ個人的な繋がりを持つかことができるかが大事です。私は田中角栄先生という人に政治の道を開いていただいたんだけれど、角栄先生がよく言っていたのは、歩いた家の数、握った手の数しか票は出ないということでした。毎日、「こんにちは、私が石破茂です。よろしくお願いします」と言って訪ね歩いた家の数、「お願いしますね」と握った手の数。票の数はこれでしか出ないんだ、と。古臭いと思う人もいるかもしれませんが、やっぱり有権者との間にそういう個人的な繋がりを作れなければ強くはなれないと思います。私もできるだけ選挙区に帰り、地元のお祭りにもなるべく参加して、そこにいる人たちの手を握り、一緒に飲み、食べ、踊ります。そういう個人的な繋がりを持っていると、逆風が強く吹いても勝てる。そういった個人的な繋がりがないと、社会保障や税金みたいな話をちゃんと聞いてくれることもないし、何かあったときには見放されてしまうのだと思います。

井上 総裁選のとき、私は石破さんの都内や地方での演説も聞かせていただきました。確かに、行く先々でその場に合わせたエピソードを盛り込み、地域に密着されていることを感じましたし、地元の人からの信頼感が違うなと思いました。

石破 ありがとうございます。私は、自民党を支援することによって何か直接的な利益のある人々ではない、圧倒的大勢の人たちからのシンパシーこそが大事だと思っているんです。たとえば、岩手県の県議会議員選挙と市議会議員選挙のとき。何人かの候補者の応援に行きましたが、盛岡でも、花巻でも、一関でも、市町村ごとに、そこにどんな魅力、特徴、課題があるのかを調べます。そして、私が応援しようとしている候補なら、その課題にどう向き合えるかを考え、なぜこの人が必要なのかを地元の人たちに伝えます。日本には47都道府県1718市町村あり、それぞれの課題は異なります。政府はいろいろな政策を出しますが、北海道の稚内市と沖縄県の与那国町では受け止め方も変わってきて当然です。発信する側の理屈ではなく、受け止める側の人がどう感じるかが大事なのはなぜかと言えば、今後の日本経済を支えるのは地方だと信じているからです。地方がそこにしかない魅力を最大限に発揮し、地元に所得と雇用を生み出せれば、人口減少にも立ち向かうことができます。地方創生はそれほど大切な政策だと、私は思っているのです。

▽井上咲楽(いのうえ・さくら)
1999年10月2日生まれ、栃木県出身。A型。現在は『アッコにおまかせ』(TBS)などバラエティ番組を中心に活躍。
Twitter:@bling2sakura

▽石破茂(いしば・しげる)
1957年2月4日生まれ、鳥取県出身。自民党所属衆議院議員。慶應義塾大学法学部卒。旧防衛庁長官、防衛大臣、国務大臣地方創生・国家戦略特別区担当、自民党幹事長などを歴任。
CREDIT

取材・文/佐口賢作 撮影/荻原大志


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