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UPDATE|2019/10/25

乳がんと闘う矢方美紀(元SKE48)「最初はがんになった自分を受け入れられなかった」[インタビュー]

矢方美紀 撮影/松山勇樹


──矢方さんは病気を公表されてから、積極的に治療のストレスや悩みを発信されてきました。ただ、公表したことで中にはネガティブな反応が返ってくることもあると思うんです。それでも公表しようと思った理由はなんでしょう?

矢方 最初は公表するつもりはなかったんです。きっかけは噂というか……SNSで「(矢方は)こういう病気じゃないか」って書かれていたのが嫌で。本当は違うのに、なぜかその違う話がどんどん膨らんでいっちゃって。仕事現場で会った方にも「心の病なの?」って言われたこともあって。ちゃんと自分で真実を言わないと、間違った情報がどんどん大きくなっちゃうのかなって思ったんです。

──自分の口で正しい情報を伝えたかったと。

矢方 あとは、自分ががんになっていろいろ検索したんですけど、私の世代でがんになった方の経験談がほとんど出てこなかったんです。年齢が遠い方の事例はあったんですけど。だから何が正しくて何が正しくないのか、どうすればいいのかが分からなかったんです。そんな時にNHKさんと出会って、「今、若い人ががんになるケースも多いけど、若い人が発信している情報がほとんどない。矢方さんが情報を発信することは大事だと思うんです」という話をいただいたんです。でも、発信すると言っても私自身、知識もないですし、「今のところ病気になったということしか分からないですけど、どうしたらいいですか?」って話をしたら、「その(知識をつけていく)過程も情報になると思うので、治療が始まる前から自撮り日記という形で残していきましょう」「悩んだことや、これが分からないっていうことをピックアップして矢方さんも一緒に知っていきましょう」と。

──学んでいく過程も重要だと。

矢方 最初は私も知らないことがプレッシャーだったんですけど、知識を得ていくうちに、知っているか知らないかで不安の度合いも変わるし、病気じゃない方が番組を観て、「がんとはこういう病気なのか」「患者さんはこういうところで悩んでいるのか」ということを知ってもらえる機会につながるんじゃないかなって思ったんです。
AUTHOR

林 将勝


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