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UPDATE|2019/10/25

乳がんと闘う矢方美紀(元SKE48)「最初はがんになった自分を受け入れられなかった」[インタビュー]

矢方美紀 撮影/松山勇樹


──矢方さんの情報発信は、治療の悩みの部分だけではなく、ポジティブな一面にも光を当てているように感じられます。

矢方 がんの闘病と聞くと、治療がすべてのように思われがちですが、仕事もできると分かったので、仕事をしている姿も発信すれば、あくまでも一つの例ですが、こういう人もいるんだって思ってもらえるのかなって。自分が発信することで、「がんの人=元気じゃない」、「がん=すぐに死んでしまう病気」ではない、違った一面も伝えられたのかなって思います。

──抗がん剤の薬「ドセタキセル」を「ドセ様」と呼んだり、暗いイメージを明るくしようという考えはあったんですか?

矢方 「ドセ様」という言葉も私の発信ではなくて、SNSにコミュニティがあるんです。乳がんや若年性の女性特有の病気になった人たちが語り合う場があって。抗がん剤はしんどいけど、お互い治療をしている人たちがそれを少しでもポジティブにしようと薬の名前をモジッたりしているんです。自虐じゃないですけど「今日、めっちゃハゲているんだけどー」ってコメントがあったりして、治療をしている人だからこそ分かり合えるというか。

──同じ経験をしている方同士のコミュニティならではですね。

矢方 抗がん剤治療をしている人でも、始めたばかりの人と、何年か経った人もいて、経験者の話はすごく安心できるんです。例えば、治療中の人は髪の毛が抜けていくし、この先どうなるかも分からないけど、治療を終えた方から「大丈夫、すぐ生えるから」って言われると、あまり気にしなくてもいいのかなって思えたり。私自身、この1年で乳がんの患者さんや、ほかのがんの患者さんにお会いできたんですけど、無理をせずすごく明るく振る舞っていて。自分の寿命が分かったことがきっかけなのか、今、生きていることの幸せをすごく感じているというか。もちろん、病気にはなるべくなりたくないし、しんどいし嫌なんですけど、病気になったからこそ感じられた絆もあるんです。そういう方に出会えたことってすごいことだよねって思います。
AUTHOR

林 将勝


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