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UPDATE|2019/10/31

辻村深月×大場美奈(SKE48)舞台『ハケンアニメ!』を語る「舞台オリジナルのキャラも私が作ったことにしたい」

左から辻村深月、大場美奈 撮影:南伸一郎

SKE48の大場美奈が、初主演する舞台『ハケンアニメ!』が10月12日(土)の大阪公演からスタートした。原作は直木賞作家、辻村深月が書いた同名小説。日本を代表するエンタメコンテンツでもあるアニメにスポットを当て、そこで働く熱い仕事人たちの活躍を描いた感動物語だ。


大場美奈が演じるのは原作には登場しない舞台オリジナルキャラ、新人制作進行の川島加菜美だ。10月31日(木)からは紀伊國屋ホールにて東京公演もスタートするが、「それまで待ちきれない」と新幹線に飛び乗り、大阪まで足を運んだのが原作者・辻村深月。舞台終演後には、主演の大場美奈との対談も実現した。主演と原作の2人が語る舞台『ハケンアニメ!』の魅力とは……?

     *     *     *

──公演お疲れさまでした。まずは大場さんの演じた川島加菜美について、改めてどんな役なのか教えてください。

大場 原作の主人公である有科香屋子(演:町田マリー)にあこがれる新人制作進行で、有科さんや全体の物語を俯瞰して見ているストーリーテラーでもあります。だから私も一歩引いた感じでほかの皆さんの演技を見ることも多いんですけど、いざ川島にスポットが当たるとすさまじい勢いで物語の中に巻き込まれていました。ひとつの役でいろいろな立場を味わえる役だなと思いながら演じていました。

辻村 舞台を観ていて、加菜美ちゃんって大場さんの色がものすごく出ている役だなと思いました。大場さんが演じてくれたからこそ、ものすごく深みのあるキャラクターになったんでしょうね。

大場 ありがとうございます!

辻村 普通こういう新人の子は物語の中では、物語側からの要請として、周りを引っ掻き回す役だったり、コミックリリーフ的なドジなことをしてもらう役回りになりがちだと思うんですけど、加菜美ちゃんはただ困ったりオロオロするんじゃなくて不思議な大物感がある。でも、実際に仕事場に新人の子がいたとしたら、物語のセオリー通りにオロオロするだけってことは絶対にない。社長に対して「私が言えたことじゃないですけど」って言ったりするのって現実にも往々にしてあることだと思うんです。その、物語の必要性でやっているわけじゃない、加菜美ちゃんの人生がちゃんと見えるのが、観ていてすごく楽しかったです。

大場 川島はただの新人さん、というわけではないんです。過去の苦い経験ゆえに持っているアニメが大好きという気持ちや、王子千晴監督への並々ならぬ思い入れみたいな感情は、最初からずっと演技に乗せていくよう気をつけていたので、それがちょっとでも伝わっていたら嬉しいです。

辻村 私は稽古も見せていただきましたけど、稽古でお見かけしたときと本番では大場さんの演技が全然違って見えました。なんというか、本番の加菜美ちゃんは稽古のときよりずっと“大場美奈”の血が通っている。大阪3日目でこれなので、東京公演のときは、舞台オリジナルキャラの加菜美ちゃんがスタジオえっじのメンバーとしてさらに馴染んでいると思うんです。それが見たいので、この後も何度も観に行かねばって思いました(笑)。
CREDIT

取材・文/斉藤優己 撮影/南伸一郎


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