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UPDATE|2019/11/20

伝説の『11・20』から四半世紀、女子プロレスブーム到来の予兆とともに今こそ平成の対抗戦ブームを総括する

『憧夢超女大戦 25年目の真実』(彩図社)


──そうだったんですね。ならば、今回の本にも現役の選手がたくさん出てきてもいいんじゃないか、と思うんですけど、基本的に当時のフロント陣のみですよね? 全女の広報部長だったロッシー小川さん、JWPの社長だった山本雅俊さん、LLPWの女社長と選手を兼任していた風間ルミさん。

小島 当初のプランでは、かなり多くの現役レスラーにもインタビューをする予定だったんですけど、現役というところがなにげにネックなんですよ。今、参戦している団体との関わりもあって、なかなか話せないこともあるじゃないですか? 最初にフロント陣の取材をはじめたんですけど、みんな本音で話してくれるから、各方面に忖度したレスラーたちのコメントが入ってもおかしいかなぁ~、と。なによりもフロント陣のインタビューの取れ高がハンパなかったんですよ。みんな3時間以上も話してくれて。

──1時間半の取材を2回?


小島 いや、1回で3時間オーバー(笑)。僕もいろんな取材を経験してきて、こういう取材って、まぁ、1時間半から2時間が限界だな、とわかってはいたんですよ。それ以上やっても集中力が続かなくなるので、一旦、打ち切って別日にやり直したほうが効率はいい。ところが今回はみんなノンストップで語りまくってくれたんですね。25年も前の話、いや、この本では平成元年から振りかえっているので30年以上前の話も出てくるので、最初は記憶も曖昧なんだけど、話しているうちにどんどん鮮明になってきて、最終的にはまるで昨日のことを話しているような感覚になった。めちゃくちゃ面白かったし、それがこの本に息吹を与えてくれましたね。

──ひとつの事象に関して、各団体のフロント陣に確認をとっているんですけど、ところどころで意見が食い違っているのが、なんともナマナマしいです。

小島 まぁ、それぞれの立場から見れば、それぞれの『真実』があるってことですよね。基本的で『あの人はこう言ってましたけど、どうですか?』という質問はしない、というのが今回、取材をする上での基本ルールでした。反論に反論が重なって、最終的に真実とはかなり遠いところに着地しかねないので。だから、みなさん、ゲラチェックの段階で「えっ、こんなことを言っていたの?」と他団体の主張に驚いてました。でも、だからといって、その部分を直してほしいと言ってくる方はいなかったですね。自分の考えとは違うけど、その人にとっては、おそらく、それが「真実」なんだから、と。ちゃんと通して読んでいただくと、たしかに食い違いが出てくる部分もあるんですけど、なぜ、そうなったのかという背景も見えてくる。東京ドームの真実、というよりも、そこに至るまでの各団体のやりとりがこの本の肝になっていると思います。

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