■ラストアイドルの“歩く芸術”
ラストアイドルファミリーが総勢52人で披露した“歩く芸術“のインパクトも衝撃的だった。ラストアイドルファミリーが出演している番組「ラスアイ、よろしく!」の企画で実際に「団体行動」を指導していた日本体育大学の監督から直に伝授されたというその“歩く芸術“はアイドルファン以外にも認知されるほどの話題性を生んだ。
“歩く芸術“を行うにあたってメンバー全員がほぼ統一された衣装と容姿であったことから、実際には「推しがどこにいるのかわからない」「そもそも“歩く芸術“をすることに意味があるのか」と言った声も多くあり、賛否両論だったようにも感じる。
しかし、ラストアイドルファミリーの“歩く芸術“は非現実的な美しさに反して、等身大のメッセージ性もあるように感じた。”歩く芸術“の美しさが反映したのは中学、高校生の時に感じた「列を乱してはいけない」という強迫観念を表現しているかのような息の合わせ方であったり、クラスで浮かないための努力であると考える。
誰もが高校を卒業すると同時に制服も校則もなくなり”解放“されるが、その点でラストアイドルの”歩く芸術“は大人になる前のモラトリアムを彷彿とさせ、今までのアイドルで一番リアルに大人への訴えを試みているように感じた。