──えりぴよは舞菜に対して過剰な愛情を見せますが、いわゆる“厄介”の描写がないですよね。それは意図されてのことですか?
平尾 はい、オタクが嫌われるのはイヤなんですよ。繋がったとか暴れたとか。そういうのを描いて誰が幸せになるのかと。悪く描くことを求められる声がやはり多いのですが、ヒドく描いてオタクが嫌われるのはイヤだし、そんなものを描いて私も嫌われたくないし(笑)。
一同 (笑)。
平尾 なので、オタク造形は基本「悪い人はいない」をベースにしています。それに正直、悪い部分を描く作品はたくさんあるじゃないですか。ファンタジーとリアルの間にある、アイドルとオタクとの幸せな関係を描く方が私としても楽しいんです。
根本 素晴らしい! 原作で途中からアイドル現場で出禁を繰り返すイケメンオタクが出てくるじゃないですか。なのにアウリ先生がすぐさま「不穏な展開になりません」と注意書きをされていて、安心させられました。
平尾 いるだけで現場がザワつくイケメンキャラもいないと不自然かなと思いまして。ただ特に害にはならないっていう。
根本 むしろ、その後もイケメンが出てくるたびに、あの注意書きを思い出して逆に可哀想になってきちゃうんですよ。しかも、悔しいけど目の保養になってしまうほどのイケメンで(笑)。
平尾 逆にそこまでの感想をもらえるキャラと思ってなかったので驚いてます(笑)。
──もう一つの主役、ChamJamというアイドルはどのように形作っていきました?
平尾 ChamJamは「どこにでもいる、よくあるグループ」にしたかったんですよ。いわゆる正当派で。……この質問、難しいですね。初めて聞かれた質問なので(笑)。
根本 初の話を聞ける!!
平尾 そうですね、岡山の中でもあまり売れていないけれど、毎週熱心なオタクが30名ぐらい通い詰めるぐらいには影響力がある、小中規模の地方アイドルの一つという感じですね。ただ、漫画で描いていると、なんか微妙に現場に人が多いなぁと(笑)。
根本 アニメでは明らかに30名以上ファンがいますよね。
平尾 そう! 1話とか大人気グループみたいでしたよね。
根本 会場には電工スクリーンが置いてあって、虹コンでも滅多にやらせてもらえないような豪華な演出でライブしている! って思いました(笑)。