──他にはどんな新しい挑戦をされたのですか?
佐山 今までどこにも出したことがない表情を撮ろうということになって今回は“破顔”にも挑戦しているんです。今まで笑顔の写真は相当ありましたが、顔が崩れるほどの笑顔ってなくて。破顔が撮れたのは、また海の撮影の日。海の中でカメラマンさん、メイクさん、インストラクターさんがみんな一塊になって、「ワー!キャー!!」と言いながら必死になって泳いでいたんです。そのワチャワチャした光景があまりにも面白くて、思いきり笑っちゃったんですよ。出来上がった時はこれが私の破顔か……ってちょっと感動しちゃいました。確かにこんな顔、今の今までどの作品でも見せたことがないですから。
──中々見せない表情と言えば、涙のカットもありました。
佐山 撮影終了後に、カメラマンさんから「この10年間どうだった?」と聞かれ、この時に初めて「これが最後なんだ」という実感が湧いてきたんです。今までのことが頭の中を巡ってきて、ついつい想いが溢れてしまいましたね(照笑)。
──帯の「優秀を飾るラストヌード」という扇情的な見出しが躍るように露出もすごいですが、先ほどの水中でのカットや笑顔が光る写真が今作の肝のような気がします。
佐山 明るく最期を飾りたかったんです。肌を見せるシーンでも笑っていたりと、とにかく笑顔の多い作品ですね。肌的なヌードでもありつつ、心的なヌードの作品……なのかも。何も作ろっていない、私らしさが一番出たと思います。
──10年を振り返って、数々の写真集を出してきましたが、印象的な作品はありましたか?
佐山 もう、色々とありすぎて何から言おうか……一番は『virgin nude』という高校卒業後に出た写真集です。これは最初に思いきった露出に挑戦した作品で、精神的にもたくあんの準備が必要で、ものすごく不安だったんです。けど、信頼している編集者さんからものすごくサポートしていただき、これは頑張って良い物を作らなくちゃ! と決心できて。結果納得いく作品ができました。それにこの作品は、私の実家に行って撮影もしていて。
──確かご家族も一緒に写っていましたよね。
佐山 そうそう! ある意味肌以上に全開になっている、私としても佐山家としても印象深い作品でした(笑)。