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UPDATE|2020/03/08

20年という歴史の重みの中で… 新たなモーニング娘。を創る少女たちの苦悩

モーニング娘。年代記 第21回



しかし、時代はどれだけの輝きを放っていようと、やはりどこかで終わりがやってくる。そんな実相を2016年のモーニング娘。に教えたものこそ、“笑顔のぽっちゃり娘。”としてテレビやネットニュースといった外部メディアで奮闘し続けていた鈴木香音の、あまりにも明るい卒業ソングと、その中で描かれた彼女の珠玉の笑顔であったように思う。

「(「泡沫サタデーナイト!」にあるものは)楽しい時間がパッと弾けちゃうっていう、泡沫の寂しさ」(鈴木香音)(※1)

そしてカラフル期のバラエティ担当の旅立ちが浮き彫りにしたものこそ、ついに現役のモーニング娘。から、グループの顔になれるメンバーが再びいなくなってしまうという現実だった。

事実、モーニング娘。のコメントを辿ってみても、道重さゆみや鞘師里保の卒業時までは再ブレイクの自信や明るさを保ち続けていたメンバーたちの言葉が、2016年の鈴木香音卒業を境に明らかな変化を見せ始めている。

「鈴木さんが卒業されたら、キャラクター的に世間の方に知っていただくような人がいなくなる」(工藤遥)(※1)

「『次のセンターは誰?』ってよく聞かれる」(佐藤優樹)(※2)

「『センターは私に任せろ!』って言いたくても言えない自分がもどかしい。一歩止まっちゃう自分がいるんですよ」(石田亜佑美)(※2)

しかも、前時代の成功を知っている9~11期の先輩たちが、内に焦りの感情を築いていくその最中。これからの新生モーニング娘。を創っていくはずの12期(尾形春水・野中美希・牧野真莉愛・羽賀朱音)、や13期(加賀楓・横山玲奈)の若手にも、実は彼女たちなりの、新たな悩みが生まれはじめていた。

これは当時の年少メンバーがモーニング娘。のアイデンティティともいえる「歴史」について尋ねられたときの、素直で切実な返答である。

「(モーニング娘。の)最初の10年位はリアルタイムで知らない」「それが悔しい」(羽賀朱音)(※3)

「もうちょっと早く生まれて、生で(先輩たちの)パフォーマンスを見たかった」(牧野真莉愛)(※3)

この2016年に加入2周年を迎えていた12期、そして新たにお披露目された13期はいずれも、モーニング娘。がメジャーデビューした後に生まれたメンバーだけで構成されている。

AUTHOR

乗田 綾子


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