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UPDATE|2020/04/11

ハロプロ黄金期を支えた男たちの“あの頃。”「モーヲタは遅れてきた青春だった」劔樹人&吉田豪 <後編>

左から吉田豪、劔樹人 撮影/荻原大志



吉田 怒りを抑えきれない『BUBKA』一派に対して、その頃になるとビバ彦さんは日和見主義者的になって距離を置いていた。「今はせっかく盛り上がっているんだから。そこに水を差すのはよそうよ」という大人の対応ですよね。対する杉作さんは「今は石川梨華の卒業が一番大事。そこは今、触れるな!」という見解。見事なまでに思想の違いが浮き彫りになっていたんです。

劔 大阪組にはそのへんの状況が伝わってこないから、「最近の杉作さんはおかしい! 本来なら一緒に座り込みしてくれるはずじゃないか!」と戸惑っていましたね。

吉田 とはいえ矢口さんはそのあとも事務所に残って活躍していたし、いろいろあったけど今も頑張っている。すごく温情的でタレントに優しい会社だと思いますよ、アップフロントは。

──『LOVEマシーン』の大ヒットが1999年。その後もモーニング娘。はメガヒットを連発しましたが、2002年のハロマゲドン(※14)を機に勢いが減速します。『あの頃。』の時代背景は、全盛期を少し過ぎたタイミングなんですよね。

劔 だからヲタクたちもふるいにかけられて、濃い連中が残った印象があります。もっとも僕自身はハロマゲドンのあとからハマった人間だから、完全に新参者。『LOVEマシーン』時代の熱狂を知らないから比較ができないんですよね。それに世間で売れようと売れまいと、現場で応援する側からするとどうでもよかったという印象があります。

吉田 娘。の勢いが落ちてきたあと、フットサルに流れた人は多かったですね。もしくはBerryz工房と℃-uteのハロプロキッズ。闘いを求めるフットサル派と、子供が好きなキッズ派。ここでも分断が見られるわけですよ。

劔 あとは当時、メロン記念日も勢いがありましたね。ライブを観ると、本当にBRAHMANみたいな初期衝動があって。今WACKのアイドルがウケているのを見ると、メロンの功績は大きかったなと思います。ももクロの大ブレイクもメロンありきの話だと僕は考えていますし。

吉田 メロンには『This is 運命』というキラーチューンがあって、それが爆音娘。で流れまくっていたんですよ。ライブでもモッシュする人が続出していたけど、あれはDJイベントから生まれた熱だったと思う。

劔 爆音娘。は本当にすごいイベントでした。僕はバンドをやっていることもありハードコア系のライブもかなり観ている方なんですけど、爆音娘。ほど凶暴に盛り上がっている現場を他に知らない。何せヲタ汁というのがありましたからね。大人数が一斉に暴れて汗をかくものだから、それが水蒸気となり、天井に溜まって、ポタポタと落下してきて……。その騒ぎは延々と朝まで続く。とんでもないことですよ。

CREDIT

取材・文/小野田衛 撮影/荻原大志


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