祖父は第56・57代 内閣総理大臣の岸信介、兄は現・内閣総理大臣の安倍晋三。現在、自由民主党山口県支部連合会会長を務めている岸信夫衆議院議員。月刊誌『月刊エンタメ』の人気連載「栃木県生まれの眉毛ガール 井上咲楽の政治家対談」。今回は岸信夫議員に、実兄や祖父が総理大臣という政治家庭ならではの苦労を聞いた。(4回連載の4回目)
※インタビュー(3)
「より地元の声を反映できるのが衆議院議員」から続く
※取材は2020年2月12日に行いました
井上 総理の弟という立場から見て、第一次安倍内閣(2006年)の発足時、第二次安倍内閣(2012年)の発足時で、抱く思いに違いはありましたか?
岸 第一次のときは、総理の意気込みがすごく出ている政権だったと思います。防衛庁を防衛省に昇格させ、教育基本法を改正するなど、1年間の政権と考えればいろいろなことを実現したと思います。ただ、総理の意気込みを実現し、持続していくための土台がまだ十分に固まっていなかったのかな、と。その点、第二次政権は、総理の考え方も政権発足前から我々もわかっていたし、どういう国にしていくのかについての土台がためもできていたと感じました。
井上 憲法改正は自民党の党是ですよね。実際に安倍さんの本気度はどのくらいだと感じていらっしゃいますか? また、自民党内で憲法改正が現実的に可能だと思っている方はどのくらいいらっしゃるんでしょうか?
岸 私は総理ではありませんが、相当強い思いを持っていることは確かです。また、現実問題としてしっかりとした政治体制でなければ、憲法改正はできません。つまり、このタイミング、安倍政権を逃すと憲法改正はなかなかできないだろうと思っています。
井上 なるほど。
岸 過去を振り返ってみると、私の祖父(岸信介氏)が1960年に日米安全保障条約を改正しました。祖父の本当の目標は、憲法改正だったと思いますが、安保改正をきっかけに退陣することになったわけですね。その後、自民党政権でも民主党政権でも、憲法改正が現実的な取り組みとして俎上にのぼることはなくなっていきました。もちろん、その間も憲法改正のための運動は続いていましたが、なかなか広がりが得られませんでした。そうした経緯がある中で、第二次安倍政権の今が一番、憲法改正を前に進めやすい土壌となりつつあるのかな、と。