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UPDATE|2020/05/03

不安と迷いの中で…工藤遥が語った「モーニング娘。としての誇りとプライド」

モーニング娘。年代記 第22回



00年代のモーニング娘。を知る最後の世代であると同時に、再ブレイクの象徴となっていた道重さゆみが卒業を発表した2014年春以降、モーニング娘。は2016年末までの約2年で、道重を含めて3名の卒業者を送り出し、代わりに6名の新メンバーを迎え入れていた。

そしてこの2017年も、モーニング娘。はまだ上半期のうちから10期メンバー・工藤遥が年内での卒業を発表し、その直後には森戸知沙希が14期メンバーとして活動に合流しているのだ。

このメンバー変動のスピードは過去の例でいうと、高橋愛や新垣里沙といったプラチナ期の面々が卒業し、急激な世代交代が進んだ2010年~2012年頃のそれに近い。しかし実像がいまだ変化の途中にあった一方で、「モーニング娘。’17」と呼ばれていた計14名の女性たちは、この2017年ならではの大きな壁にぶつかる。2017年、それは1997年に誕生したモーニング娘。にとって、一度しかない結成20周年のアニバーサリーイヤーでもあったのだ。

テレビ・雑誌での特集企画や、結成20周年を祝うコラボカフェのオープン、結成20周年記念イベントに、誕生20周年記念コンサートツアー。「過渡期」のはずのモーニング娘。’17は節目に偶然居合わせたことで、自分たちの色が定まり切っていないにも関わらず、ステージでは常に20年分の歴史の代弁者として振る舞わなければならなかった。

平均年齢17・85歳だったモーニング娘。’17、特に加入3年以内の12~14期メンバー・7名にとって、その環境はどれだけのプレッシャーになっていたのだろうかと想像する。

「(自分たちは)新人感が否めない」(野中美希)「ときどき、“私って、モーニング娘。だっけ?”って思うことある」(羽賀朱音)「加入して、本格的にパフォーマンスを始めたのは今年なのに、20周年のお祝いをするのって……」(加賀楓)(※1)

“誕生20周年──伝統と革新”と銘打たれた雑誌の特集記事の中で、デビュー曲『モーニングコーヒー』を思わせる赤いチェックのスカートに身を包んでいた彼女たち。しかしその姿から漏れる本音には、やはりどこか迷いの心情がにじんでいた。

AUTHOR

乗田 綾子


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