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UPDATE|2020/05/03

不安と迷いの中で…工藤遥が語った「モーニング娘。としての誇りとプライド」

モーニング娘。年代記 第22回



ただ、雑誌や映像をそのまま追っていると、2017年のモーニング娘。が過渡期と節目の狭間で隠しきれていなかったネガティブな感情は、やはり同年のある時期を境に、言葉から再び消え始めていく。その始まりはどこにあったのだろうと探していると、こんな象徴的なメッセージに辿り着いた。

13期メンバー加賀楓の証言によれば、それは2017年秋。結成20周年記念イベントのリハーサルで、卒業を約3カ月後に控えた10期メンバー工藤遥から後輩たち全員に伝えられたものだったという。

「モーニング娘。20年の歴史のなかで、ずっと過ごしてきたわけではなく、自分のことのように受け止めるのが難しいこともあるけど、誇りもプライドも持ってほしい」(※2)

そういえばと、ここで改めて工藤遥の歩みに思いを寄せてみる。『LOVEマシーン』の発売より後に誕生した工藤がモーニング娘。に加入したのは2011年、まだ11歳の頃。しかしその時点でグループはすでに彼女の人生よりも長い、結成14年の歴史を有していた。

過去を語れない少女が、それでも過去を意識しながら、モーニング娘。として生きていく日々。「歴史を自分のことのように受け止めるのが難しいこともある」というのはもしかすると、かつての工藤自身が抱え込んだ苦しさそのものだったのかもしれない。

しかし加入から6年、過去を語れぬ17歳はそれでも立派なモーニング娘。のメンバーとしてファンに愛され、次の夢に続くフィナーレを迎える。その未来を導いたものこそ、モーニング娘。としての「誇りとプライド」。歴史の重みを受け入れる勇気、変容の荒波を乗り越えるための揺るがぬ自信を、自分の中で持ち続けることだったのだ。

そして同じ悩みを抱えた彼女だからこそ伝えることができたそのヒントは、後輩たちを変え、やがてモーニング娘。そのものの意識も大きく変えていく。

「モーニング娘。に加入して、まだ自信がなかったとき、モーニング娘。にちゃんと私なれてるのかな?って思ってたときに、工藤さんは“モーニング娘。だよ”って、背中を押してくれました。その一言のおかげで本当に背中を押されたし、自信にもなりました」(森戸知沙希)(※3)

だからこそ、再び赤いチェックのスカートに身を包んだ2017年12月のモーニング娘。’17は、もう迷っていなかった。

結成20周年企画『モーニングコーヒー』(20th Anniversary Ver.)のMV撮影。工藤遥を見送った21年目のモーニング娘。は、同じ衣装を着た中澤裕子、石黒彩、飯田圭織、安倍なつみ、福田明日香の5人と、この日初めて顔を合わせている。



※1 ワニブックス『アップトゥボーイ』2017年10月号
※2 東京ニュース通信社『モーニング娘。’18密着ドキュメンタリーフォトブック「NO DAY , BUT TODAY 21年目に描いた夢たちVOL.1」』
※3 「モーニング娘。誕生20周年記念コンサートツアー2017秋~We are MORNING MUSUME。~工藤遥卒業スペシャル」2017年12月11日
AUTHOR

乗田 綾子


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