2018年の暮れ、運上は地元・北海道の新CMキャラクターに抜擢された。珍味の販売を中心に手掛ける企業「江戸屋」の「鮭とばシリーズ」のCMに出演することになった。テレビでオンエアされるようになると、オーディションに反対していた兄は妹を認めるようになったという。それまでは妹の活動に興味を示さなかったのに、帰省するたびに服を買い与え、ご飯をご馳走してくれるようになった。
「それはそうですよね。HKT48に入ったといっても、今まではどんな活動をしているかさえ、調べないとわからない存在だったから……」
先月、何度か取材した中で、運上はそうつぶやいた。ファンの期待だけでなく、家族の期待を背負って活動していかなくてはならない。2か月に一度、福岡の自宅に来てくれる母親は、部屋のどこかに北海道で買ってきたお土産を隠し、それを娘が探すのが恒例になっている。お土産を見つけた21歳の娘は家族のぬくもりを感じて、ガランとした部屋で毎回涙する。
運上弘菜は愛される条件をいくつも満たしている。HKT48というグループがより愛されるために、指原卒業後初となるシングルで彼女がグループの顔になることは必然だったのかもしれない。