『月刊エンタメ』に連載中の「井上咲楽の政治家対談」、今回は2020年東京オリンピック・パラリンピック大臣などを歴任した遠藤利明議員が登場。遠藤さんが力を入れて取り組んでいる「ともだち小学校」プロジェクトについて直撃。(5回連載の4回目)
【写真】遠藤議員のキャッチフレーズ入り“当せんべい”>>(3)
「オリパラ延期の追加費用はどこから?」から続く
井上 遠藤さんの取り組みで興味深いなと思ったのが、アジア各地に小学校を作る「ともだち小学校」のプロジェクトです。
遠藤 1998年からミャンマーやタイなど、まだ十分に教育の機会に恵まれていない子どもたちの住む地域に「ともだち小学校」を建設しています。私は両親が学校の先生だったこともあって、教育の大切さを強く感じて育ちました。そして、国会議員に初当選したとき、先輩の議員から、「おまえ、何か1つでいいから、 “俺がやった”と誇れることをやれ」と言われたんですね。何をやろう? と考えたとき、世田谷区の小学校がベルマークを集めてネパールに小学校を作ったという話を聞いたんです。これだ! と。日本が戦後豊かになった土台には教育がある。アジアに教育を受けることに恵まれていない子どもたちがいるなら、彼らを少しでも支援していこう、と。それでアジアが豊かになれば、それは日本が豊かになることにもつながっていくと思ったんですね。
井上 1校作るのにどのくらいのお金がかかるんですか?
遠藤 始めたときは300万円くらいです。今は600万円くらいです。最初にその額を聞いたとき、それだったら協力してくれる議員を集めて、ポケットマネーを出し合えばできるんじゃないか、と。総理大臣の安倍さんは私の当選同期ですから、「手伝ってよ」と声をかけ、今は「アジアの子どもたちに学校をつくる議員の会」といって50人の議員が仲間になってくれて、毎月1万円ずつ積み立てています。
井上 皆さんポケットマネーで?
遠藤 もちろん。23年で17校が完成して、今、18校目をミャンマーに作っているところです。50人いるから年間600万円集まるでしょう。だいたい1年に1校のペースです。ただ、私は一度、落選して3年くらいブランクがあるからね。
井上 その間は安倍首相が会の会長を務めてくれたそうですね。
遠藤 そう。開校するときはなるべく現地に行くようにしていて、みんな本当に喜んでくれます。ただ、どの国でも「ともだち小学校」を建設しているのは、山の中など。特に最初の頃は、電気もない水道もないような地域ばかりでした。驚いたのは、「トイレを作りますか?」と聞かれたこと。日本の感覚で学校の建物にトイレがないのは考えられないけど、向こうではあえて指示をしないと作らないと言うんですよ。
井上 えええ!
遠藤 外でするのが普通だったというんですね。20年前かな、カンボジアのメコン川の近くに1校作ったときは先に現地を視察したんだけど、「トイレはみんな川に行ってします」と言われました。
井上 メコン川に……?
遠藤 そうそう。洗濯もそこ、飲み水もそこから。でも、川が大きいから大丈夫、と。そういう世界。まだカンボジアの治安も安定してなかったから、両脇ずっと軽機関銃を持った警察官が警備してくれて、おっかなかったな。
井上 訪問自体が冒険ですね。