FOLLOW US

UPDATE|2020/06/21

「アジア各地に学校を…」遠藤利明・元五輪担当相が語る(4)、“ともだち小学校” プロジェクト

左から井上咲楽、遠藤利明 撮影/松山勇樹



遠藤 安倍さんも一緒に行ったタイの「ファイコンともだち小学校」は、奥地の山間部。昼は30度くらいまで気温が上がるけど、夜は5度くらいまで下がるので寒くてね。子どもたちが寝泊まりする寄宿舎も一緒に建てたんだけど、毛布がボロボロで。その場に行った議員みんなでお金を出し合って、毛布を買ってプレゼントしたのを覚えています。あと、ラオスに行ったときのことも印象深いですね。

井上 何があったんですか?

遠藤 タイとの国境でメコン川を渡るんだけど、小さな船に国会議員10人くらいで乗り込んで。喫水線ギリギリの状態で、ライフジャケットはなし。エンジンの力が足りないから、ゆっくり上流に向かって進めて、途中で向きを変え、川の流れを使って対岸に向かうんですよ。だけど、ちょっとでも揺れたらアウト。「明日、日本の新聞に国会議員10人溺死って出るかなぁ」と頭をよぎりました(笑)。でも、そういう経験をしても現地に行きたくなるのは、子どもたちの目なんですよね。

井上 目ですか?

遠藤 キラキラ輝いているの。「学校が楽しい」って。彼らは学校がないと、家で農作業を手伝わなくちゃいけない。でも、学校での勉強は自分の意志でできる。それがうれしくて、2時間、3時間かけて登校してくる子もいるわけです。

井上 大変!

遠藤 比べるものでもないと思うけど、現地に行くと、日本の教育は原点を見失っている気がしてしまう。

井上 というと?

遠藤 授業の内容、学校の設備。これは世界最高水準です。ただ、経済も生活も安定しているからなのか、子どもたちに求めるものが多すぎる。それで、学校の中が大変で子どもたちがストレスを感じている気がします。

井上 確かに。

遠藤 本当は成績が悪くたってどうってことはないんですよ。もちろん、良いにこしたことはないけど、学校が辛いときは休めばいい。もっと伸び伸びできるような教育にできないかな、と。自分のペースと能力に合わせた授業を受けられるような仕組みが作れないか。学校教育では多様性が一番大事だと思います。

>>(5)に続く(21日15:00公開)

(取材・文/佐口賢作)

▽井上咲楽(いのうえ・さくら)
1999年10月2日生まれ、栃木県出身。A型。現在は『アッコにおまかせ』(TBS)などバラエティ番組を中心に活躍。
Twitter:@bling2sakura

▽遠藤利明(えんどう・としあき)
1950年1月17日生まれ、山形県出身。自民党所属衆議院議員。山形県会議員を経て1993年、衆院初当選。副文科相、五輪担当相などを歴任。衆院山形1区、当選8回。

RECOMMENDED おすすめの記事