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UPDATE|2020/06/21

遠藤利明・元五輪担当相が語る(5)「自民党には安倍さんと谷垣さん、両方のタイプがいてバランスがとれる」

左から井上咲楽、遠藤利明 撮影/松山勇樹



井上 私が政治に興味を持ったきっかけは、派閥だったんです。遠藤さんは谷垣グループ(有隣会)の代表世話人を務められていますよね?

遠藤 詳しいね。光栄だな。

井上 谷垣グループはどういう雰囲気ですか?

遠藤 吉田茂、池田勇人と続く戦後の日本の流れを作った軽軍備・経済優先の考え方。これを受け継ぐ保守本流の宏池会から分かれたのが、今の麻生派や谷垣グループです。リベラル派とも言われるけど、表現が難しいね。保守強硬派ではないことは確かで、独断専行で上から決め事を下ろすようなやり方よりも、広く多くの方の意見を聞きながら物事を進めていきます。谷垣さん自身もそういうタイプの政治家で、大衆主義というか、人々の声を大切にするという発想がベースにあるのかなという気がします。私はとても合うグループですね。

井上 野党時代の自民党では谷垣さんが総裁を務めました。もし、谷垣総理大臣が誕生していたら、どんな日本になっていたと思いますか?

遠藤 谷垣さんと安倍さんは考え方が違っていてね。第二次安倍内閣が発足した当時の経済の低迷ぶりを思うと、強制力を発揮して財政出動を行い、金利を下げるといったやり方は、安倍さんだからできたことだなと思います。谷垣さんが財政再建派で、総理になっていれば国民の皆さんに痛みを伴う改革をお願いし、財政再建を行いながら経済を安定させるという取り組みをしたはずです。どちらがよかったかは考え方の違いですが、景気回復という観点からは安倍さんで良かったのかなと思います。

井上 谷垣さんとお会いすることはありますか?

遠藤 谷垣さんはリハビリの最中だけど(2016年に趣味の自転車の事故で重傷を負い、政界を引退)、この間もお会いしていろんな話をしました。本当に尊敬できる人で、私としてはもう1回、政治の世界に戻ってきてほしいですね。自民党には、安倍さんみたいなタイプの人と、谷垣さんみたいなタイプの人、両方がいてバランスが取れると思うので。安倍首相、谷垣幹事長の組み合わせは非常にうまくいっていましたから。それが今の党内は違う極となる人がいない状況になっていて、心配しています。


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