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UPDATE|2020/07/26

検事、法務大臣などを歴任・山下貴司議員が語る「黒川検事長問題と検察庁法改正問題」(前)

左から井上咲楽、山下貴司 撮影/松山勇樹



井上 そうなんですか?

山下 なぜかと言うと、検察庁法と国家公務員法は分けて改正ができないんですね。生木を裂くようなもので。例えば検察庁法で任命すると決まっているのは検事長以上のポストの人たちで、その他の普通の検察官、検事は国家公務員法で法務大臣が任命する仕組みになっています。黒川さんの退職金問題で批判が集まっている懲戒を定めているのは、国家公務員法。2つの法律が一体的に適用されているんです。

井上 なるほど……。

山下 さらに言えば、検察庁法は、「検察庁」に勤める検事向けの法律なんです。でも、検事さんは法務省に勤めていることもあれば、他の役所に勤めていることもあります。そういう検事さんには検察庁法がそのままは適用されないんですよね。

井上 そうなんですね。

山下 ですから、改正するには2つの法律は一体として進めなければいけない。検察庁法だけ切り離して、というのは法的にムリがあったのです。

井上 そう説明されるとそうなのかな……と思ってしまうのですが、なかなか理解を広げるのは難しそうですね。

山下 国家公務員の定年を延ばす法改正については野党も賛成の立場です。ところが、不幸にして黒川検事長の定年延長問題とセットになったことで誤解が広まってしまいました。今国会の会期中では、それを解くための丁寧な説明に割ける時間がないと思ったので、僕は延ばした方がいいという考えでした。揉めているから延ばすのではなく、国民の皆さんに改正の意図を十分に伝えたいからです。僕は大臣時代、「愛と政策は伝わってナンボだから」とよく言っていました。いくらいい方向を目指していても、真意が伝わらなくては「強引に通した」ということになってしまうから。

井上 ちなみに、黒川さんの賭けマージャンの問題が発覚したときは、どうお感じになりましたか?

山下 あれはね……。がっかりしたよね。うん。

>>(5)はこちら

(取材・文/佐口賢作)

▽井上咲楽(いのうえ・さくら)
1999年10月2日生まれ、栃木県出身。A型。『おはスタ』(テレビ東京)の水曜レギュラーほかバラエティ番組を中心に活躍。Twitter:@bling2sakura

▽山下貴司(やました・たかし)
1965年9月8日生まれ、岡山県出身。自民党所属衆議院議員。東京大学卒業後、検察庁検事を経て衆議院議員に。令和初の法務大臣であり、8年で10本の議員立法を実現し、Mr.議員立法と呼ばれる。
CREDIT

取材・文/佐口賢作 撮影/松山勇樹


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