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UPDATE|2020/07/26

検察官から法務大臣へ、山下貴司議員が語る「木村花さんの悲劇を受け、政治が出来ること」

左から井上咲楽、山下貴司 撮影/松山勇樹

『月刊エンタメ』に連載中の「井上咲楽の政治家対談」、法務大臣などを歴任した山下貴司議員が登場。最後は、SNSでの誹謗中傷から見直され始めているプロバイダー責任法の在り方について。(6回連載の6回目)

【写真】山下議員にサイン入り著書をもらうイノサクさん

>>(5)はこちら

井上 プロレスラーの木村花さんが亡くなられたことで、自民党でもプロバイダー責任法の見直しの動きが活発になっていると思います。Twitterをはじめ、SNSは気軽に自分の意見を言える一方で、誹謗中傷も多いです。人を傷つけた側を処罰する意味合いでプロバイダー責任法を改正する意義はあると思いますが、適用範囲はどこまでなのか。開示された情報が悪用されないのか。ネット上から言論の自由が奪われるようなことにはならないか。そんな心配もしてしまいます。

山下 線引きの難しい問題ですよね。実は僕は20年前に世界で初めてのサイバー犯罪条約(欧州評議会が発案した、個人情報保護とオンラインでの児童ポルノや著作権侵害を含むサイバー犯罪に関する対応を取り決める国際条約。日本・米・欧州などの主要国48ヶ国が署名・採択)の交渉に参加した日本代表だったんですよ。この国際条約への批准と前後して、日本でもプロバイダー責任法(正式名称は「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」)ができました。

井上 調べてみたら法律ができたのは、2001年なんですね。

山下 つまり、今のプロバイダー責任法は20年前の状況を反映させた法律です。20年前と言えば、もちろんスマホ以前、もちろんTwitterもFacebookもありません。みんなが写メールを送り、iモードを使っていた時代。ネットの使う人の数、情報の流れも格段に違います。その変化に世界はどう対応しているかと言うと、2010年代になってイギリスもドイツも韓国も法律を改正。アメリカは名誉毀損を行った相手が誰かを特定できずとも、まずは訴訟を起こすことができ、裁判の過程で誰がやったかが分かる仕組みになっています。

井上 なるほど。

CREDIT

取材・文/佐口賢作 撮影/松山勇樹


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