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UPDATE|2020/07/26

検察官から法務大臣へ、山下貴司議員が語る「木村花さんの悲劇を受け、政治が出来ること」

左から井上咲楽、山下貴司 撮影/松山勇樹



山下 また、法律ができた当時と今を比較すると、名誉毀損に当たる情報が流された場合、発信者をたどるのがより難しくなっています。ネットは社会に不可欠なインフラで、誰もが便利に使っていますよね。だからこそ、安心できる場にしなくてはいけません。新聞が名誉毀損に当たる記事を書いたら、新聞社と記者を訴えることができます。ところが、今のプロバイダー責任法では、被害者が名誉毀損を請求する相手をまず特定するための手続に膨大な手間暇がかかるのです。

井上 そうなんですか。

山下 被害者がプロバイダーに対して、名誉毀損をした発信者の情報を開示するように請求するわけです。しかし、その手続は煩雑で弁護士費用もかかります。生きていけないくらいの精神的なダメージを受けた被害者が乗り越えるハードルとしては、非常に高い。この不公平を是正したいですよね。加害者の情報開示の手続は簡素でスピーディーなものの方がいい。

井上 苦しいのもつらいのも、耐え続けているのは難しいです。

山下 そうですよね。どこの国もその手立ては用意していて、イギリスでは5日以内に削除するかどうかを決め、情報の発信者が拒否した場合、裁判所が相手の情報を開示します。ところが、日本はプロバイダーが開示請求を拒否した場合、今度は被害者がプロバイダーを訴える手続をとって開示してもらい、さらにその相手に訴訟を起こし……。

井上 気が遠くなってきますね……。

CREDIT

取材・文/佐口賢作 撮影/松山勇樹


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