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UPDATE|2020/07/20

人気ステーキ店を営む元プロレスラー・松永光弘の、貯金通帳残高ゼロの絶望から店をV字回復させた驚愕の経営術

『オープンから24年目を迎える人気ステーキ店が味わったデスマッチよりも危険な飲食店経営の真実』(ワニブックス・刊)を発売する元プロレスラー・松永光弘



とはいえ、最初から行列店ではなかった。オープン時はまだ現役のプロレスラーだったので、プロレスファンに宣伝すれば、初日から行列ができることは確実だったが、松永はあえてその手法をとらなかった。

「立地がよくないですからね。まずは地元のお客さんにたくさん来ていただかないと経営は難しい。なのでプロレスファンへの告知はある程度、固定のお客さんがついてくれるまでしませんでした。

たしかに最初はお客さんも少なくて、妻と2人でなんとか食っていけるかどうか、という程度の売り上げしかなかったので苦しかったですけど、そこを耐え抜いたことで店は軌道に乗りました。実は今、お客さんの中でプロレスファンの占める割合は5%もいかないぐらいなんですよ。ただ、この5%の方たちが熱くお店を支えてくれている。コロナ禍でも全国から『お店は大丈夫ですか?』と心配して声をかけてくださる方がいた。遠くに住んでいて、東京に食べに行くことはできないけれど、なにか力になれませんか、と。これは本当にありがたかったですね」

オープンから1年を経過した頃から来店者数が急増。繁盛店と呼ばれるようになったが、そんな状況は長くは続かなかった。突如として襲いかかってきた狂牛病騒動に、店は大きなダメージを負ってしまう。

「今回のコロナウイルス騒動と状況がよく似ているんですよ。いつまで続くか、誰にも分からない。来月には収束するかもしれないし、ひょっとしたら1年かかるかもしれない。あと何カ月、耐えればいい、と言われたら、みんな耐えられますけど、先が見えない中、ひたすら厳しい状況に耐え続けるのは厳しかった。もう二度とこんなことはないだろう、と思っていたところにまさかのコロナですから、びっくりですよ」

AUTHOR

小島 和宏


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