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UPDATE|2020/07/22

太田隆文監督が語る『ドキュメンタリー沖縄戦 知られざる悲しみの記憶』

『ドキュメンタリー沖縄戦 知られざる悲しみの記憶』


──構成はどのように考えましたか?

太田 取材を続けて分かったのは、沖縄戦は一言で言えないということ。真珠湾攻撃だと「日本軍がハワイを奇襲して、アメリカ軍に大きな打撃を与えた」と一言で言えるんですが、沖縄戦は、上陸作戦があり、首里城の戦闘があり、集団自決があり、対馬丸事件があり、いろんな事件や戦闘を全てまとめて沖縄戦なんです。ミッドウェーや真珠湾とはかなり違う。取材していくうちに気づいて様々な事件をできるだけ取り込み、沖縄戦の全貌が分かる構成にしました。

──終戦から75年で、体験者の方々も高齢となり、皆さんの証言を映像に収められたのは貴重なことだと思います。このタイミングで撮影ができたことについてはどう思いますか?

太田 この映画は体験者の証言が中心。多くは高齢者。現在80代の方々は当時5、6歳。なので、細かな記憶がなく、後で親や兄弟から聞いた話で補足したとも聞きます。幼い頃の記憶なんです。現在90代の方は当時15歳くらい。中学生なのでしっかり記憶している。でも、年齢的に今もご存命の方は少ない。中でも集団自決=集団強制死の話は特に難しいものがありました。今も一切話さない方もいらっしゃいます。アメリカ軍に家族が殺されたということではなく、追い詰められ自らの手で家族を殺さなければならなかった方もいて、今証言すると生き残った人や関係者から「あいつがあんなことしなければ、***も生きていたのに…」と批判されたり詰められたりもする。本人も自責の念に駆られる重い十字架を背負っている。過去の話で終わらせることができないんです。だから、死ぬまで話せない。ただ、今回、そんな集団強制死について、お二人の方に当時のことを話してもらえました。

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