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UPDATE|2020/08/23

周りから浮き続けた一匹狼の格闘家・青木真也が語る「孤独と仲間と同調圧力と」

撮影/松山勇樹

青木真也の3冊目の著書『距離思考 曖昧な関係で生きる方法』(徳間書店)が発売中だ。総合格闘技の世界で10年以上にわたってトップクラスの活躍を続ける著者。その冷徹かつロジカルな思考と歯に衣着せぬ言動、敵を作ることを恐れず、時に楽しみさえするその生き方から一匹狼のイメージが強い。プライベートで離婚を経験した後は「もう家族はいらない」と発言し、話題を呼んだ。

そんな著者が最近、よく口にする言葉が「ファミリー」だ。「家族」ではなく「ファミリー」。結婚や家族など、これまで当たり前とされてきた価値観を疑い、独特な距離感で人間関係を築く青木真也が語る理想の人との付き合い方とは? 3回連載の1回目は“周りから浮いてしまう”こと“孤独感”について。

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──青木選手は試合後のマイクや自著の中で「俺たちはファミリーだ!」と連帯を訴えています。しかし、世の中には社会に上手く溶け込めず疎外感を抱いている人も多いと思うんですよ。「ファミリーになりたくてもなれない人」はどうすればよいのでしょう?

青木 たしかにファミリーを「見つける能力」という問題はあるんですよね。仲間が見つからないという状態の行き着く先は、結局、絶望しかないわけで……。僕自身、ファミリーを見つけるまでは孤独感に打ちひしがれていましたから。たまたま僕の場合は運だったりタイミングの巡り合わせで気の合うファミリーと出会うことができました。ただ、運の要素が強いということは焦っても仕方ない。自分から何か仕掛けるというよりは、待っていることしかできないのかもしれない。重要なのは待っていて目の前にファミリーが現れたとき、それを見過ごさない嗅覚なんですよ。

──今は孤独を抱えている人も、待っていれば必ずファミリーと出会うチャンスがあるということでしょうか?

青木 もちろん。というか「ファミリーと出会いたい」と考えている時点で、すでにその人には希望があるんですよ。だって「自分もファミリーがほしい」と考えるようになったのは、僕の本や記事に影響されたからでしょ? 大丈夫、その時点で僕はあなたのファミリーなんだから。「俺には誰にもいない」なんて考えないでほしい。むしろ「俺には青木がいる」って勝手に考えてほしいんです。

──確かにある種の思い込みというのは大切かもしれません。

青木 これは恋愛関係や師弟関係にも同じことが言えますね。よく「あの人は僕のことをどう思っているのかわからないので……」ってネガティブな言い方をする人がいるじゃないですか。そうじゃないんですよ。「あの人は僕のことをどう思っているか知らないけど、僕は師匠だと考えています」って言い切っちゃえばいいんです。必ずしも相思相愛じゃなくてもいい。「あの人のことが好きだから、僕は恋人だと思っています」という考え方も成立するはずなんです。

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