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UPDATE|2020/08/23

周りから浮き続けた一匹狼の格闘家・青木真也が語る「孤独と仲間と同調圧力と」

撮影/松山勇樹


──もともと青木選手は格闘技界でも一匹狼的なスタンスで活動してきましたよね。ある時点で考え方が変わったということでしょうか?

青木 どうだろうなぁ。今でも格闘技の世界では周りと打ち解けているとは言い難いし、本質的には変わっていない気もするんですよね。だけど業界の外に協力し合える仲間が増えたし、そこは自分にとっても大きな財産になっていることは間違いないです。

──プロレス・格闘技界にいる人たちって体育会特有の価値観で動きますよね。選手同士も群れる傾向がありますし。

青木 まったくその通りですよ。完全なる村社会ですから。彼らにとっては村のルールが何よりも大切なんだけど、僕はそこから意図的に距離を置くようにした。たとえば自分が新しく作りたいものがあるとするじゃないですか。あるいは、どうしても新しくやりたいことがあるとする。そのときに村の制約があると、なかなか動き出せないんです。

──具体的には?

青木 「格闘技の選手たるもの、こんなことはしちゃダメだ」。そう言われた時点で表現の幅がひとつ狭まるということですから。自分の好きなようにできないわけでね。そんなの、僕はまっぴらごめんだと言いたい。正直しんどいですよね、そういうふうに内部から言われるのって。制限なんてないほうが面白いことできるに決まっているじゃないですか。

──柔道一直線だった学生時代も警察官時代も、どうしても周りから浮いてしまうというのが青木選手のキャリアでした。ご自身では、なぜだと分析されますか?

青木 う~ん……結局は「熱量の違い」という話になると思うんですよね。「俺はこうしたいんだ」「俺はこうなりたいんだ」という思いが他の人とは違っていた。もちろん柔道部にいる人たちは全員が全員、強くなりたいわけですよ。だけど僕ほど強くなりたいと考えている人はいなかったんじゃないのかな。そうすると、やっぱり波長は合わなくなっていきますよ。

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