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UPDATE|2020/08/23

賛否両論を呼び続ける青木真也が語る格闘家論「表に出るということは叩かれる覚悟を持つということ」

撮影/松山勇樹

青木真也の3冊目の著書『距離思考 曖昧な関係で生きる方法』(徳間書店)が発売中だ。総合格闘技の世界で10年以上にわたってトップクラスの活躍を続ける著者。その冷徹かつロジカルな思考と歯に衣着せぬ言動、敵を作ることを恐れず、時に楽しみさえするその生き方から一匹狼のイメージが強い。プライベートで離婚を経験した後は「もう家族はいらない」と発言し、話題を呼んだ。

3回連載の最後は格闘家論。「RIZINについてどう思うか?」「UFCに興味はあるのか?」「ヒールとして叩かれるのって辛くないですか?」「プロレスのマットに上がり続けるのはなぜ?」といった疑問をストレートにぶつけてみた。そこから見えてきたのは、青木真也の格闘家というよりは表現者の矜持だった。

※インタビュー1「青木真也が語る孤独と仲間と同調圧力と」はこちらから。
※インタビュー2「格闘家・青木真也が語る離婚と恋愛論」はこちらから。

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──青木選手が試合で廣田瑞人選手の腕を折った際(※2009年大晦日に開催された「Dynamaito!!2009」にて青木選手が関節技で廣田選手の腕を折り、その後、廣田選手に中指を立てたことで物議を醸した)は「国民の敵」と言えるほどの大ヒールになりました。今は青木さんを支持するファンも大勢いますけど、ベビーターンできたのはどういう経緯なんでしょうか?

青木 そもそも自分がベビーフェイスだとはまったく思えないですけどね(笑)。ひとつ言えるのは、今の時代ってヒールが成立しづらいんですよ。世の中にヒールが存在しない。みんながみんな「憎たらしい!」とヒートアップするような人がいないじゃないですか。ヒールが存在しないということはどういうことか? ベビーフェイスも存在しないということです。ベビーとヒールはコインの表と裏ですからね。だから僕が急にベビーターンしたわけじゃなくて、世の中の僕に対する見方が勝手に変わっただけ。僕自身は変わっていないのにメディアの味つけとかが変わり、観ている人の印象もそれに合わせて変化したっていう話じゃないですかね。

──「結局は世間の見方次第」ということは、ご自身が世間から非難の矢面に立っていたときも辛いとは感じなかったですか?

青木 「動じることなんて一切なかった」と言い切ると嘘になるけど……。でもどんな批判があっても、自分の理屈で論破できちゃいますからね。あのときは批判が一般人だけじゃなく業界内部からも巻き起こったんだけど、「でも結局、俺より話題を作れないでしょ?」っていう思いが自分の中にはありましたね。

──格闘家として「俺より弱いでしょ?」という気持ちも?

青木 そうそう、「偉そうなこと言うけど、俺より勝ち星は少ないじゃん」ってね。要は好き嫌いで言っているだけなんです。「それはお前の感想だよね?」って話。それをいちいち相手にしていても仕方ないですよ。

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