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UPDATE|2020/08/23

賛否両論を呼び続ける青木真也が語る格闘家論「表に出るということは叩かれる覚悟を持つということ」

撮影/松山勇樹


──しっかり自分を持つことが大事ということがよくわかります。

青木 あとは理論武装することです。僕はものを書いたり話したりすることが大事だという考えなんですけど、それはなぜかと言うと、自分の考え方が整理できるから。そして自己肯定もできるから。「書くことは自己救済」という人がいますけど、僕にしてみたら「書くことは自己肯定」ですね。

──でも何かを発信すると、そこでまた叩かれたりもします。

青木 それは当然ですよ。今はSNSがあるから、誰でも発信できる時代じゃないですか。SNSではなんでも言えるけど、叩かれたら今度は怒り出す。それは違うんじゃないかと僕は思うんです。叩かれ慣れていないし、受け身が取れていない。ましてや何かしらを世間に発信する立場だったら、バッシングにうろたえている場合じゃないですよ。表に出るということは叩かれる覚悟を持つということ。僕らみたいな仕事をしている人間は、口が裂けても「誹謗中傷はやめましょうね」なんて言ってはいけない。そんなの、恥ずかしすぎる。

──覚悟の問題になってきますね。

青木 僕はそれが当たり前だと思います。これまではプロレスラーや格闘家になれるのは一部の選ばれた人間だけで、デビューするまでに血の滲むような特訓をこなさなきゃならなかった。だけど、今は誰でもプロになれる時代。覚悟がないままリングに上がることになる。ちょっと叩かれると、シュンと落ち込んでしまう。これも時代の歪みなのかもしれないですけどね。

──ただ今はスポーツ選手や芸能人、文化人だけじゃなく、一般人もSNSでのバッシングを恐れて萎縮する傾向があります。

青木 バッシングが嫌ならSNSなんてやらなくていいと思うんです。一般の方は発信することが仕事じゃないんだから。SNSに限らずだけど、なにかをやるときは必ず「リスクとリターン」「メリットとデメリット」という概念が生じるわけです。それを計算してから初めた方がいい。表現するとはどういうことか? 人に問いかけるとはどういうことか? 立ち止まって、もう一度考えたほうがいいと思いますよ。

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