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UPDATE|2020/12/24

“最大の武器”ライブができない! ももいろクローバーZがコロナ禍で考えたこと

ももいろクローバーZ



『A-Channel』は「ライブ中継」という概念を一旦、捨てるところからはじまった。最初から無観客とわかっているのであれば、客席を作らなくてもいい。だったら、会場となったライブハウスのフロアをメインステージにしてしまえ、という逆転の発想だ。

さらにそのメインステージすらも数曲しか使わない。

最初に何曲が歌ったあと、佐々木彩夏は会場内を巡回しながらパフォーマンスする。会場の廊下や楽屋、さらにはプールにまでセットを組んでおき、それらをどんどん移動しながら歌っていく。一部、映像を合成してお届けする楽曲だけは事前に収録したが(それでも本番直前の撮って出しである)、あとはすべて生配信。まさに「ライブ」である。

佐々木彩夏が会場のあちこちで歌っているあいだに、メインステージはオープニングとはまるで違う場所に見えるように大改造。ライブのクライマックスで佐々木彩夏がそこに戻ってくる、という構成。ももクロにとっては小箱になってしまうライブハウスが「無観客」にして「配信」にすることで無限大の可能性を秘めた巨大空間に化けた。

コロナ禍だからこそ生まれた、あたらしいエンターテインメント。

かねてから自身のソロコンをセルフプロデュースしてきた佐々木彩夏だからこそできたライブでもあったが、その路線は『ももクロ夏のバカ騒ぎ2020』にも継承。逗子マリーナ全体を舞台にももクロの4人が海や青空をバックに練り歩きながら歌い、踊る。

そして無観客だからできることとして、曲中にメンバーが衣装のままプールに続々と転落していく、という『バカ騒ぎ』の極致が映像となり、生配信されることに。ラストは4人が歌うバックで大量の花火が打ちあがり、誰もが味わうことができなかった「2020年の夏」をまるごとパッケージしたプログラムは完成。

もはや「無観客でおこなったライブを生中継する」という考え方はももクロにはなくなっていた。例年の大型ライブに代わるものとして、家でも楽しめるエンターテインメントを定期的に発信していくのが2020年下半期の活動のメインとなっていった。

AUTHOR

小島 和宏


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