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UPDATE|2020/12/28

『日向坂で会いましょう』アンガ田中ドッキリで見えた、日向坂46と番組スタッフの信頼関係

アイドル番組定点観測 第97回

雑誌やweb媒体でアイドルの記事を数多く執筆するライターの左藤豊氏が、1週間アイドルたちが出演するレギュラー番組や冠番組をチェック。その週、テレビで輝いていたアイドルたちについて思い入れたっぷりに語ります。第97回となる今回の観測期間は12月21日(月)~12月27日(日)。

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今年最後の更新となる当コラム。この1年を振り返ると、やはりテレビ界における日向坂46の躍進が大きかったなと思います。バラエティ力の高さは昨年の時点ですでに評価されていた部分ではありましたが、コロナ禍によってコンサートや特典会が困難になりアイドル業界全体が苦境に立たされた中、地上波で冠番組を持ちかつ芸人ばりに笑いに貪欲な姿勢を見せた日向坂46は結果的にテレビの中のアイドルとして際立った存在感を示しました。

ステイホーム期間以後テレビ番組のゲストとして日向坂46メンバーを多く目にするようになったのも、その証左と言えるのではないでしょうか。

そして、日向坂46人気の着火点となった冠番組『日向坂で会いましょう』(テレビ東京)の今年最後のオンエアを締めくくったのは、3週ぶち抜き企画「アンガ田中をメチャクチャにしましょう」完結編。企画タイトルの時点でもうアイドル番組から逸脱しているんだけど、本当に常軌を逸していたのは3週目=12月27日(日)放送回の内容。

日向坂46メンバーはスタジオ前室でアンガールズ・田中の隣に座り弁当を食べるなど果敢にドッキリに挑戦。ただそれよりも鮮烈だったのは、ロシアン寿司が置かれたテーブルにしがみつく男性スタッフ、寿司を持ったまま田中に追い掛け回される女性スタッフ、垂れる鼻水もそのままに「カメラを止めるな!」と絶叫する田中、そんな彼をなだめようと試みる偉い人(長尾真プロデューサー)など、カオスの中で必死に奮闘するテレビマンたちの姿でした。……ってコレもうアイドル番組じゃないでしょ!

とはいえ、裏方である『日向坂で会いましょう』のスタッフたちがここまで本気で体を張って番組を制作しているという一種の「ドキュメンタリー」を見せられて、筆者は感動すら覚えました。

ネタバラシ後に田中が語った「(日向坂46は)積極的な人たちの集まり」という言葉がまさに言い表していると思うんですが、前身番組『ひらがな推し』も含め約2年半に渡ってメンバーたちが本気で積極的にバラエティに取り組みどんなムチャ振りにも応えてきたがゆえ、きっと制作スタッフ陣もメンバーを信頼してここまで愛や情熱を注ぐことができるんだろうな、と(だいたいオンエアの数日前に放送されたヨソの番組の日向坂46ネタをテロップでブチ込む技とか、常人の熱量じゃありえないでしょう?)。

この放送回ではメンバーの見せ場こそ多くはなかったものの、それが逆に日向坂46の普段の前向きな姿勢を証明しているような気がした2020年最後の『日向坂で会いましょう』でした。

AUTHOR

左藤 豊


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