井上 実際に岸田さんが「風向きが変わったな」と気づいたのはいつくらいですか?
岸田 これはいろいろなところで感じていましたが、最後は候補者が出馬会見を開いた段階でした。そこで、それぞれの派閥や議員の行動が明らかになり、総裁選挙の大きな流れはあの段階で決まったんでしょうね。
井上 当時はどんなお気持ちでしたか? 「ガーン」と衝撃を受けるような感覚なのでしょうか?
岸田 何となく雰囲気は感じていますから。ある日突然、ガツンと現実を突きつけられた感じではなく、少しずつ風向きが変わっていく……そういう感覚でした。
井上 失礼かもしれませんが、ずっと総裁選を取材していて、こんなふうにも感じていたんです。「そもそも岸田さんご本人は総裁選に出たい気持ちは強くないのでは?」「派閥のトップとしての責任感から出馬されたのかも?」って。実際、この企画で宏池会(岸田派)の林芳正参議院議員にインタビューさせていただいたときも、派閥の皆さんが岸田さんを慕っている印象が伝わってきて。その気持ちに応えなければ、と出馬されたのかな、と思っちゃったんです。
岸田 いやいや、それは自分が出たかったからです。仲間から期待してもらうのはありがたいことだけど、出たいから出たんですよ (笑)。
井上 じゃあ、来年に行われる総裁選にも出たいから出るんですね?
岸田 そうですね。
井上 おー。次に向けた準備はもう始まっていますか?
岸田 今回、総裁選挙に初めて挑戦したことは、大変いい経験になりました。負けたことは私の力不足ですが、多くの皆さんに応援してもらい、大変ありがたく思っています。応援してもらった皆さんの気持ちに応えるためにも、次の戦いに向けて努力していきます。多くの国会議員に引き続きいろいろ働きかけ、政策についても共感してもらい、人間関係を作っていきます。また、全国をどんどん歩いて、地方の皆さんに私の考えを知ってもらうこと。こういった努力を地道に積み上げたいなと思っています。