井上 総裁選を戦う中で感覚が変化した部分もありますか? 私は出馬の記者会見のときに自民党本部へ取材に行きました。そのとき、石破さん、岸田さん、菅さんと順番に話されるのを聞き、その後のテレビ討論も見せていただくうち、変わったな、と。岸田さんがだんだんと生き生きしているように見えたんです。正直に言うと、最初は少し自信なさそうな感じもあった気がして。
岸田 初めてだったからね。
井上 それがだんだん吹っ切れて、清々しく見えたんです。
岸田 あ、そう! そうだったら、うれしいですけどね。だんだんと気持ちが乗ってきて勢いが出てきたのかもしれないですね。
井上 ということは、最初はあまり乗ってなかったんですか?
岸田 初めての経験で「さて、どんな戦いになるのかな?」と少し慎重な気持ちがあったのかもしれない。それも始まってみれば、「ああ、こういう感じなんだ」と要領も分かってきました。また、ありがたいことにいろんな人から応援してもらい、アドバイスをもらいましたから。できるだけいろんな人の話を謙虚に聞き、努力をしました。
井上 例えば、どんなアドバイスがありましたか?
岸田 テレビに出るときの目線の向け方、手の置き方、ネクタイの色柄、服装などの見た目のほか、自分の内面をきちんと言葉にして伝えること。本当にさまざまです。
井上 3人の息子さんからもアドバイスはありましたか?
岸田 応援や激励に加えて、座っているときの姿勢について言ってくれたかな。「前のめりの方が好印象だよ」と。ただね、だんだんアドバイスもたくさん溜まってくると、まったく逆のことを言う人も出てくるので(笑)。最後はアドバイスの交通整理が大変でしたね。
井上 岸田派の皆さんの反応はどうでしたか?
岸田 初めて総裁選を経験する若い人たちが張り切ってくれて、テレビ局にも一緒に来てくれましたね。
井上 そうなんですか!
岸田 何人かで分担してスケジュールを組んで、この局に行くときは私たちが、と。必ず付添いがあった。
井上 じゃあ、楽屋でこんな風にしようとか作戦会議を?
岸田 そうそう。
井上 いや〜、なんかすごい。総裁選を一生懸命追いかけていたので、裏話が聞けてうれしいです。
(取材・文/佐口賢作)
▽井上咲楽(いのうえ・さくら)1999年10月2日生まれ、栃木県出身。A型。『アッコにおまかせ!』(TBS)、『おはスタ』(テレビ東京)、『サイエンスZERO』(NHK Eテレ)などに出演中。
Twitter:@bling2sakura▽岸田文雄(きしだ・ふみお)1957年7月29日生まれ。自由民主党所属衆議院議員。1993年の初当選以来、9回連続当選。安倍政権では戦後最長となる4年8カ月の間、外務大臣を務めた。第9代宏池会会長。