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UPDATE|2021/02/21

タブレット純が語るムードコーラスの深遠なる世界「戦後の騒乱期の芸能界はハチャメチャだった」

タブレット純 撮影/山上徳幸

お笑い芸人として独自のポジションをキープするタブレット純。しかし、もともとは和田弘とマヒナスターズの一員としてデビューしたミュージシャンだ。自身のルーツともいえるムードコーラスについて綴った書籍『タブレット純のムードコーラス聖地純礼』(山中企画)が、熱心な音楽ファンのみならず、当時を知らない世代からも注目されている。この世界の第一人者であるタブレット純をキャッチし、初心者でもわかるようにムードコーラスの魅力を解説してもらった。

【写真】ムードコーラスの語り部、タブレット純の撮り下ろしカット

「ムードコーラスというのは日本独自の音楽なんですけど、もともと洋楽のエッセンスが根底にあるんですよ。たとえば和田弘とマヒナスターズだったら、ハワイアンのバンドが歌謡曲を演奏したことで、ああいった独特のサウンドに進化した。実際、和田さんのペダルスチールの音色にはハワイアンの香りが残っていますよね。それから内山田洋とクールファイブも本格的なリズム&ブルースが土台にあるから、ああいう硬派なサウンドになったわけで。ほかにも向こうのジャズだったりポップスだったりと、それまでの邦楽にはない要素を新たに加えたことで誕生したジャンルなんです」(タブレット純・以下同)

ところで「ムード歌謡」と「ムードコーラス」の違いとは何か? タブレット純氏によると、ムードコーラスとは文字通りコーラスを重視した形態。したがって、ムード歌謡というジャンルの中にムードコーラスがあると捉えることができる。そしてムードコーラスは「バンドであることが非常に重要」なのだと力説する。

「あの当時って、まだバンドという概念が固まっていなかったんです。たとえばソロ歌手だったら、いわゆる箱バンみたいな人たちの伴奏がついていて、その演奏に乗せて歌うというのが主流。でも、ムードコーラスは最初から自分たちのバンドで音を固めていた。だから細かい楽器のアレンジも面白いし、僕自身もバンド音楽として楽しんでいる部分が大きいんですね。コーラスも最高だけど、演奏も最高というのが特徴なので。楽器を演奏したりバンド経験者が聴いたら、今でもすごく新鮮に感じると思いますよ」

AUTHOR

小野田 衛


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