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UPDATE|2021/02/21

タブレット純が語るムードコーラスの深遠なる世界「戦後の騒乱期の芸能界はハチャメチャだった」

タブレット純 撮影/山上徳幸



現在、徐々にではあるが若い人たちの間でムードコーラスが注目されつつある。今は新型コロナの影響で鎮静化しているものの、都心部のクラブでチルアウトする際にかかることもよくあるという。背景にはYouTubeやサブスクなどで昔の情報が得やすくなったことに加え、伝道師としてのタブレット純の功績が限りなく大きい。

「当時リアルタイムで頑張っていた方たちはほとんど現役を引退しちゃって、中には亡くなった方も結構いるんです。だからこそ、当事者の方に直接お会いして本にまとめたいというのは考えとしてありました。それで若い人たちが少しでも興味を持ってくれたら、これ以上ないくらいうれしいですよね。だけど一方で最近はマニア間でレコードの争奪戦も起こっていて、ちょっと前だったらリサイクルショップで100円で買えたような盤が高騰していたり……。そこは個人的には勘弁してほしいです(笑)」

音楽シーンは常に温故知新を繰り返しながら進化を続けてきた。GSに影響されてネオGSのムーブメントが起こったり、ロカビリーにインスパイアされたネオ・ロカビリーのバンドが結成されたりするのはほんの一例だ。こうなるとネオ・ムードコーラスのグループが現れてもおかしくなさそうだが……?

「GSほどには“自分たちで演奏してみよう!”という人たちが現れていないので、逆にそこは狙いどころかもしれませんね。でも最近でいうと、やっぱり大きかったのは純烈の大ブレイクでしょう。彼らが死滅していく文化だったムードコーラスを救ってくれたことは間違いないし、その功績は限りなく大きいと思います。それからゴスペラーズも考えようによっては現代のムードコーラスと呼んでいいかもしれません」

ムードコーラス界のレジェンドたちと対談する『タブレット純のムードコーラス聖地純礼』では、信じられないような豪傑エピソードが次から次へと登場する。印税契約や楽曲クレジットのデタラメさ、事務所との大雑把すぎる関係、理不尽極まりないメンバー間の力関係……。

AUTHOR

小野田 衛


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