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UPDATE|2021/02/21

タブレット純が語るムードコーラスの深遠なる世界「戦後の騒乱期の芸能界はハチャメチャだった」

タブレット純 撮影/山上徳幸



「何もかもハチャメチャですよね、はっきり言って(笑)。結局、ナベプロができるまでの日本の芸能界っていうのはヤクザが仕切っていたような世界なんですよ。だから荒っぽいことも平気でまかり通っていた。それじゃダメだということで芸能界のシステムが整備されて今に至るわけですけど、黎明期だからこその粗雑な感じが話を聞いているぶんには面白いなと。

中でも僕が耳を疑ったのは、日雇いの肉体労働者みたいに朝の東京駅前でバンドマンをピックアップしていたという一件。『今日はギターを弾く奴が足りない』とか、そんな感じで雑に集めていたんでしょうね。もちろんリハーサルなんてなかっただろうし、演奏する側は大変だったはずです」

魑魅魍魎の人間模様と、妖しくも美麗なハーモニー。戦後の騒乱期にナイトクラブやキャバレーを中心に花開いたムードコーラスは、令和の世にあっても変わらず輝きを放ち続ける。その調べに耳を傾ければ、男女の機微や本物のダンディズムなど多くのことを私たちに教えてくれるはずだ。

AUTHOR

小野田 衛


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