劔 この映画、アップフロントプロモーション(※ハロー!プロジェクトを運営する芸能プロダクション)にも一応チェックして頂くことになっていたんです。先に言われていたのが「オタクを気持ち悪く描き過ぎないでくれ」ということ。
今泉 いや、言いたいことはわかるんですよ。実際、ちょっと前のテレビや漫画って過剰にアイドルオタクを気持ち悪く描いていたじゃないですか。ステレオタイプに蔑んで、ネタにして。
劔 チェックのシャツを着て、巨大なリュックサックを背負って、眼鏡をかけながらヲタ芸を必死で打つ……みたいな(笑)。
今泉 そんな風にする気は毛頭なかったですけど。オタクにもひとりひとり個性はあるし。ただ、この作品の時代は今ほどオタクに市民権はなかったですし、今みたいにライブ現場に女性が殺到することもなかった。そんな状況の中で活動していたからこその劒さんたちの青春の輝きがあったわけだし。そこはきちんと描こうとはしました。だから、きちんとオタクにひいてる人も登場させてます(笑)。
──最近の若いアイドルファンが観たらギョッとするかもしれませんね。特攻服とかのオタク文化も消えつつありますし。
劔 そういう細かいディティールが、この映画ではすごく重要だったと思います。
今泉 演出部はじめ、衣装さんやヘアメイクさん、多くのスタッフが、本当に細かく当時のことを調べてくれました。それからヲタ芸とかの文化も今とは当然違ったりしますし。