ソロアイドルのみきちゅが書き連ねてきたコラムも今回が最終回。先日、アイドル活動を終了した彼女がみきちゅ名義で書いた、最後のコラムとなった。アイドルを終えるとはどんなことなのか。その本人の心の内を見せてもらった。
ステージの背景にはこれまでの衣装を展示。みきちゅの足跡を表現していた。
最後まで進化し続けたくて、
長年やり続けた『アポロ』はリアレンジverで演技をいれて披露したり
ダンスのみの楽曲をいれてみたり
新曲の『スーパーノヴァ・ラストダンス』では編曲に関わり、更に未知のバレエ要素を取り入れた優雅で残酷な振り付けにしたり
いっぱい挑戦しました。
わたしの最大の課題はダンスでした。
ダンス経験がなくて今までダンスで魅せれなかったぶん、最後はみんなをびっくりさせたいと思ったんです!
6月から始めたばかりのダンス。本来はみきちゅをずっとやっていくために始めたものでしたが、終焉が決まってからも先生は変わらず指導し続けてくださり、このワンマンでしかやらない一回限りの曲にも素敵な振り付けをつけてくださいました。
でも、、
振り付けを増やしてもらったはいいものの、わたしは全然踊れず、ギリギリまで毎朝公園で練習したり、本番2日前も泣きながらスタジオで練習していました。一生懸命作った曲も、「踊れないなら歌わなくていい」と言われながら、直前には足を痛めてしまったり、衣装のドレスに合わないほどアザだらけになってしまいました。
それでも、たった一回のステージのために、人生で一番、一生懸命になれたんです。
ツイ廃のわたしが、ツイッターすらまともに見れないほど!(残り少ないみきちゅの時間、ネットであんまり思い出が作れなかったのは寂しかったけど)
自身初となるリボンの演技も取り入れた。
一週間たったいまでも、正直まだ終わってしまった実感がありません。
わたしは最後まで、「美しいアイドル像」を追いかけ続けていたので、ステージでは泣かないと決めていました。
それでも、本編が終わり、アンコールの幕が開いた時に
「みきちゅ、戻ってきてくれ」
「やめないで」
という声が聞こえて…客席を見るとasiaいっぱいのお客さんの多くが泣いていて。
そのとき思わず涙が滲んでしまいました。
自分が何をしてきたのか、何をしているのかあの瞬間ほんとうにわからなくなってしまいました。
歌で救われたから、誰かにとってそんな存在の音楽を作りたい、聴いてくれた人に感動や笑顔を届けたい。
そんな願いはいつしか十字架のように重くのしかかってしまって、そして目の前のみんなを泣かせてしまってる、、
ねえ
まだやり直せるのかな?
このままみんなとずっと一緒にいたい、離れたくない
どうしたらいい?
いま何ができるの?
スローモーションみたいに、あの一瞬でたくさんのことを考えてました。
ステージ上のアイドルを求める無数の手。みきちゅが活動を終える理由が少なくても人気うんぬんでないことは明らかだ。
だけど、
みきちゅは活動休止するということだけは、消すことができない事実だったから。。。
みきちゅでいれる時間を少しでも伸ばしたくて、『フローズンストロベリー』を歌い終わった時
「もう一度お願いします」
と、セットリストにはなかった同じ曲を二回やりました。
第一回みきちゅの楽曲総選挙で第1位だった『フローズンストロベリー』。
みきちゅのライブといえば、この曲だったよね!!!もう何回歌ったかわからないほど歌ってきた曲。
ずっと好きだった、ただただハッピーなライブがそこにあって、最近こだわっていた美しく踊って魅せることも忘れて、ただ体力の限界までがむしゃらに歌ってる自分がそこにはいました。
みんなが「みきちゅ!」って7回呼んでくれるみきちゅMIXも、今日で終わりか~、と切ない気持ちになったけど、それを忘れさせてくれるくらい、みんながリクエストしてくれた3回目の『フローズンストロベリー』は楽しかったよ。
ラストライブ、構成も何もかも時間をかけて準備してきたのに、ガン無視で同じ曲3曲もやるなんて超あほらしくて、超みきちゅっぽかった。
そう、みきちゅっぽかった。
、、、みきちゅっぽいって、なんだろう?
わたしは、変わっていくことは止められないと思う、それは、もっとみんなを幸せにしたいから。だけど、変わっていくことは、誰かを裏切り続けるということだと知りました。
わたしはみんなに見たことない景色をもっと見せたいとずっと思っていたよ、でも、みんなからもらった愛が大きすぎて、どうやって恩返ししたらいいかわからなくなっちゃった。
星が消えるとき、最後だけに許された“スーパーノヴァ”の輝きを、みきちゅが消えることでみんなに見せることができていたなら本望です。
アンコールで3回繰り返した『フローズンストロベリー』で、みきちゅはファンである“みきちゅふぁみり”たちと最後の心の交流を果たした。
わたしは瑞稀ミキとしてリスタートします。
わたしを知らない人にとっては、ただの改名のための解散商法だと思うかもしれません。
だけど、「みきちゅ」はここで完結しました。
みんなが愛してくれたから、わたしは「みきちゅ」が大好きでした。
「みきちゅ」こそ、わたしがやりたかったアイドルそのものでした。
だけど。
想いが強すぎてどこにもいけなくなってしまった「みきちゅ」は終焉まで追い込まれてしまいました。
活動休止を発表してからしばらくは、泣いてばかりで、発表前よりもライブに人がたくさん来てくれれば来てくれるほどに、もうこれからこの世界にみきちゅの居場所がないことに怯えていました。
活動休止を発表したときは辛いことしかなかったけれど、徐々に「早く戻ってきて」と言ってくれる人が少しずつ増えてきた時、わたしはもう泣くことをやめて、みきちゅじゃなくなった自分のことを前向きに考えることができました。
終わることが重すぎて立ち止まったときは、新しいことの準備を少しずつ始めることで気持ちを持ち直していました。
絶望から救ってくれた人のみきちゅふぁみりのみなさんや、周りの人の言葉を信じて
これからは瑞稀ミキとしてもっとラフに音楽をみんなに届けていけたらいいなと思っています。
その涙とともに、みきちゅは去っていった。ファンの心に、一人の稀有な才能を持ったソロアイドルがいたという歴史を刻みつつ。
ラストライブが終わって数日経って落ち着いたころ、わたしは家で大好きな私立恵比寿中学のぁぃぁぃこと廣田あいかちゃんのブログをチェックしていたのですが、ほんとうに驚きました。
ぁぃぁぃはいつもブログのタイトルを曲の歌詞にしているのですが
わたしが活動休止したあとに更新された最初のブログのタイトルが、なんと、わたしがぁぃぁぃを思って書いた「アイドルに恋をした」の歌詞だったのです。
■私立恵比寿中学オフィシャルブログ(ぁ^^ぃ)こんな僕でもなにができるかな?(ぁ^^ぃ)ぁぃぁぃの優しさに感動してしまいました。
本当にいい子で、この子を信じてきてよかったなあと思いました。。。
わたしは、ぁぃぁぃの心のこもった歌や、感情が全て伝わってくるダンスや表情に触れるだけでいつも幸せな気持ちになれるし、人前に立つことで生じるたくさんの苦悩にも果敢に立ち向かってくスーパーヒーローみたいな姿に元気づけられてきたし、元気をあげたいと思ったし、なんなら自分がなにかできることがもしあるならば全てを捧げてもいいと思えるほど、人生を変えてくれる存在でした。
アイドルってなんだろう?と考えるたび、ぁぃぁぃをみると、それがわたしの答えだったんです。ずっと救われてきました。
そんなぁぃぁぃとは、8月31日の横浜アリーナでの「@JAM EXPO」で共演することが叶いました。
わたしがみきちゅをやっているうちに、エビ中と共演することが叶って本当に嬉しかったのですが、まさかの出演時間がだだ被りという、、、普通に泣きました!!!残念!
だけど、終わってからぁぃぁぃとお話しできたんです!
今までエビ中ファミリーとしてイベントに行っていたから、ぁぃぁぃはわたしのことを覚えていてくれてて(ぁぃぁぃの記憶力のよさはすごい)、さらに曲もずっと聴いてくれていて(昔もわたしの『アイドルの秘密』という曲の歌詞をブログタイトルにしてくれたんです)本当に嬉しかった。。。
「みきちゅ、やめちゃうの?」
そんな話になったとき、わたしは今後について考えてることを全てぁぃぁぃに話しました。
そのときはまだ不確定なことも多かったけど、ぁぃぁぃに話したらすべて真実になってしまう気がしたんです。
伝え終わった後、ぁぃぁぃは笑顔でこう言ってくれました。
「みきちゅ全部やめちゃうのかとおもってたから、、、よかった!
歌うことやめないんだね!みきちゅの歌好きだよ!」
みきちゅという可憐で美しい花は散った。でもその歌と魂は永遠に残る。今度は何を見せてくれるのだろうか。
【「みきちゅ、終焉。」@club asia セットリスト】オープニングムービー by「アイドルのラストノート」
M01 天才の羽根
M02 アイドルに恋をした
M03 First love
M04 恋愛パズル
M05 アポロ
M06 I☆SSW(PV上映あり)
<ムービー by「アイドルのラストノート」>
M07 Morning magic
M08 キラキラ
M09 DANCE(inst)
M10 可愛い屋さん
M11 ピアノ弾き語りメドレー(おきちゅ~僕らのマーチ~歌姫)
M12 歌姫
M13 アイドルの秘密
M14 正しさは君だ
M15 スーパーノヴァ・ラストダンス
En1 フローズンストロベリー
En2 フローズンストロベリー
En3 フローズンストロベリー
En4 守ってね
<ラストムービー by「アイドルのラストノート」>
みきちゅ 2015年10月24日まで活動していたソロアイドル。1993年1月26日仙台出身。16歳でライブを始め、弾き語りやバンド活動などを経て、自分で作詞作曲も手がける“アイドルシンガーソングライター“として活動。2014年7月発売の3rdシングル『アイドルの秘密』がオリコンデイリー9位のスマッシュヒットとなり、Yahoo!ニュースに取り上げられるなど話題に。8月2日のTIF2015でアイドル活動を終えることを発表。10月24日のラストライブにて終焉を迎えた。その後、瑞稀ミキとして音楽活動を続けていくことを発表。現在はその準備期間である。
■瑞稀ミキ公式ツイッター
@mikichu_magic