FOLLOW US

UPDATE|2023/10/13

『時をかけるな、恋人たち』ヨーロッパ企画・上田誠が放つ、時空を超えたSFラブコメディの魅力

『時をかけるな、恋人たち』ポスタービジュアル(公式Xより)

フジテレビ系列・毎週火曜日23時の「火ドラ★イレブン」枠で、吉岡里帆&永山瑛太主演のTVドラマ『時をかけるな、恋人たち』がスタートした。

【関連写真】吉岡里帆、艶やか着物の"どんぎづね"さんCMオフショット

二宮和也主演の『ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~』(フジテレビ系)、大人気シリーズの『相棒season22』(テレビ朝日系)、劇場版も制作された『きのう何食べた? season2』(テレビ東京系)、鈴木亮平主演の日曜劇場『下剋上球児』(TBS系)などなど、錚々たる秋ドラマがひしめくなかで筆者的には最注目のドラマである。

広告代理店で働く常盤廻(吉岡里帆)は、仕事の“辻褄合わせ”は得意だが、恋愛となるとからっきしなアラサー女子。そんな彼女の元に、未来からやってきたタイムパトロール隊員の井浦翔(永山瑛太)が現れ、やがて2人は時空を超えた恋に落ちていく…という、SFラブコメディ。という訳で本稿では、『時をかけるな、恋人たち』の魅力について迫ってみたい。

筆者がこのドラマに注目した最大の理由は、劇団ヨーロッパ企画主宰の上田誠が脚本を手がけていること。同志社大学の演劇サークルとして旗揚げされたこの劇団は、それまでも知る人ぞ知る存在だったが、第8回公演として初演された『サマータイムマシン・ブルース』(2005年)が『踊る大捜査線』シリーズの本広克行監督によって映像化されてたことで、一躍映画ファンからも注目されるようになった。

その後も、『曲がれ!スプーン』(2009年)、『ドロステのはてで僕ら』(2020年)、『リバー、流れないでよ』(2023年)と劇場用長編映画を制作する一方で、『あいつが上手で下手が僕で』(2021年)、『魔法のリノベ』(2022年)とTVドラマも意欲的に発表。湯浅政明監督のTVアニメ『四畳半神話大系』(2010年)では、シリーズ構成と脚本も手がけている。

上田誠の真骨頂といえば、“時間もの”。過去に戻って部室エアコンのリモコンを取りに行く『サマータイムマシン・ブルース』といい、テレビに2分後の未来が映し出される『ドロステのはてで僕ら』といい、タイムリープから抜け出せなくなった『リバー、流れないでよ』といい、時間を巧みに操作することで極上のドタバタコメディが生み出される。

時空を超えたSFラブコメディ『時をかけるな、恋人たち』は、まさに上田誠の得意技が唸りを上げる作品なのだ。吉岡里帆演じる主人公の名前は常盤廻(ときわ・めぐ)で、永山瑛太演じるタイムパトロール隊員の名前が井浦翔(いうら・かける)。時が廻り、時を翔ける物語であることを、名前が暗示している。(以下、ネタバレがあります)

AUTHOR

竹島 ルイ


RECOMMENDED おすすめの記事