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UPDATE|2023/07/11

BreakingDowon KOREA構想も、秋山成勲「人は失敗する、セカンドチャンスはあった方がいい」

韓国勢の参戦について語る秋山成勲

総合格闘家・朝倉末来がCEOを務めるBreakingDownは、5月に行われた大会で日韓対抗戦を強行。禁断の扉を開けたことで、さらなるカオスぶりが波紋を広げた。ここでキーマンになったのは、世界を知る格闘家である秋山成勲だ。韓国軍団を編成して日本に乗り込んだのみならず、日本人ファイターに対しても「井の中の蛙で終わっていいのか?」と発破をかけたのである。

【写真】体重150キロ、韓国ヘビー級からの刺客キム・ジェフン

BreakingDownは不良の格闘技大会というより、「道を踏み外した者へのセカンドチャンス」というコンセプトが根底には存在する。秋山自身、桜庭和志との“ヌルヌル騒動”で世間からのすさまじいバッシングを浴びた過去を持つだけに、この点に対して思うことは多いようだ。日韓対抗戦「第2章」以降のビジョンも含め、格闘技に懸ける熱い思いを洗いざらい語ってもらった。

──BreakingDownには「道を踏み外した者に復活の機会を与える」という側面もあります。秋山選手自身も桜庭和志選手との一戦後、一時は世の中から壮絶なバッシングを浴びました。そこから這い上がっていく過程で感じたことはありますか?

秋山 「一時は」というより、「今も」バッシングは絶えないですけどね(苦笑)。それはさておき、人間は誰でも失敗するし、嘘もつくことがあると思うんです。一番問われてくるのは、「そこからどうするか?」ということなんですよね。もちろん最終的には本人のやる気次第だし、成功するかそのまま沈むかというのは運も関わってくるでしょう。でも、社会がチャンスを与える場所は絶対にあったほうがいいと個人的には考えています。

──特に日本社会は一度ミスを犯した者には手厳しい傾向がありますよね。

秋山 う~ん……でも、たとえば韓国では一度失敗した人が再起するのは日本以上に厳しい面がある気もしますね。程度の差こそあれ、アメリカだって名誉回復するのは大変なはずですし。そのへんは万国共通じゃないかな。いずれにせよ、もう一度這い上がってやるんだと頑張っている人がいるのなら、手を差し伸べるのは人間として自然な気が私はするのですが。

─BreakingDownは非常に賛否両論の激しいコンテンツです。秋山選手自身は、そのことについてどのように捉えていますか?

秋山 「子供に見せる内容ではない」とか「あんなものは格闘技ではない」といった否定的な意見があるのは、もちろん耳に入っています。でも結論から言うと、私は全然アリだと考えていますね。なぜなら格闘技の裾野を広げているから。そういう点で、すごく可能性を感じています。

──裾野を広げるとは?

秋山 たとえばサッカーを考えてみてほしいんですよ。サッカーは世界中でプレーされるスポーツですけど、ワールドカップとかオリンピックで観る試合だけがすべてじゃないですよね。お金がない国の子供たちは、適当な公園とか空き地でゴールを手作りしながら、それでも無邪気に裸足でサッカーを楽しんでいるかもしれない。実はそこが大事なんです。

─たしかに野球の三角ベースも同じような面はあるかもしれません。

秋山 そうそう。だからBreakingDownに対して「MMAルールとは違う。キックとも違う」みたいな批判をするのは完全にナンセンス。違うからこそ、可能性があるわけでね。たしかにBreakingDownには元犯罪者や不良も出てきますけど、そこを言い出したらキリがないじゃないですか。たとえば「ヤクザが出てくる映画を観たら、殺人者になるかもしれない」と言いだすのと一緒で。それくらいの分別は小学生だってついていますよ。
AUTHOR

小野田 衛


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