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UPDATE|2023/12/12

『マイ・セカンド・アオハル』広瀬アリス演じる佐弥子の「学び直し」は現代社会へのエールとなるか

火曜ドラマ『マイ・セカンド・アオハル』|TBSテレビ 公式サイトより

広瀬アリス主演、毎週火曜日放送中のドラマ『マイ・セカンド・アオハル』(TBS)。広瀬演じる白玉佐弥子は、建築家になりたいという夢を諦め、学歴も貯金もないまま、OLとしてなんとか生活を凌いでいる30歳だ。第1話では、小笠原拓(道枝駿佑)に出会ったことから建築家の夢に再挑戦しようと大学受験を決意する。

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猛勉強の末、佐弥子(広瀬)は、30歳で建築学科の大学生になり、生活費を抑えるため同じ建築学科の学生が集う格安のシェアハウスで生活することに。そこに住む拓とも再会し、佐弥子と拓のラブコメが展開される。

20歳前後のリアルな大学生に混じって授業を受けたり、課題に取り組んだりと「学び直し」に奮闘している佐弥子に感情移入している視聴者も多いのではないだろうか。

近年は社会人として就業を経験してから大学や専門学校に入り直し、知識や技術を身につける人も少なくない。学び直しは「リカレント教育」とも呼ばれ、働きながら勉強する人や、定年退職後に行う人もいる。学び直しを経て、まったく違う業界での就業を目指したり、学業を続けたりすることがあるため、佐弥子はその一例といえる。

第1話で、拓は佐弥子に対して「大学は、勉強だけする場所じゃない」と言うが、佐弥子にとって、まずは勉強に向き合うことが大きな壁。いざ大学生活が始まると、授業で出された課題の専門用語を知らない。内容を理解するのもひと苦労で、やっと仕上げた課題は教授から酷評されてしまう始末だ。

さらに金銭的な問題にも直面する。建築の勉強に必要な機能が備わったパソコンを購入する余裕は、佐弥子にはなかったのだ。家事代行のバイトに就くことができたものの、今度は働きすぎで学業が疎かに。拓から課題やコンペの準備が中途半端になっていることを指摘され、バイトを辞めるよう促される。

しかし佐弥子が建築の勉強を続けるためには、学費や生活費を自分で稼がなければならない。確かに大学生だからといって、30歳で親から援助を受けられる人は稀だろう。

佐弥子は大人で、社会に揉まれた経験があるからこそ、のびのびと「自分の好きなようにやる」ことに抵抗がある。第1話で拓は「大学は、勉強だけする場所じゃない」と言ったのは、大学生活のなかで自分の興味を広げ、授業や課外活動にも積極的になり、充実させるべきという考えが根底にあったからだ。拓の考えも間違いではないだろうが、大人である佐弥子はまず第一に、金銭的な不安への解決が必要だった。

その後、佐弥子と拓はお互いに尊重し合うことで晴れて恋人になり、充実した大学生活を送っている。相変わらず大学の課題には苦戦しているが、佐弥子も建築再生という得意分野を見つけて躍進の兆しを見せた。第7話では「思い切って大学に入ってよかった」と母親に伝え、自分の決断に胸を張った。

実際に学び直しに挑戦しようとしたとき、恋に、夢に、バイトに、そして勉強にと奮闘することは難しいかもしれない。現実にはさらに問題が山積みで、将来への不安も大きいだろう。しかし、本作を観ていると「自分にもできるかもしれない」と思わせてくれるのは確かだ。佐弥子が年齢や経験、現実の差を前向きに捉え、前進する様子は観ていて清々しい。

ドラマ『マイ・セカンド・アオハル』は、もちろんラブストーリーとしての楽しみもあるが、何か新しいことを始めようとする人へ背中を押してくれるドラマであり、今新しいことに奮闘している人へエールを送る作品でもある。

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AUTHOR

鳥羽 竜世


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