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UPDATE|2024/06/13

現在ではコンプラでアウト!? ジャッキー・チェンの伝説のアクションを有村昆が解説

『ライド・オン』

「ドランクモンキー 酔拳」日本初上陸から45周年、ジャッキー・チェンが70歳をむかえた記念すべき2024年。5月31日には映画人生の集大成『ライド・オン』が公開され、再びジャッキー・チェンに注目が集まっている。今回、映画評論家の有村昆が改めてジャッキーが映画界に残してきた数々の伝説と、いまこそ見返したいジャッキー作品を語ります。

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ジャッキー・チェン70歳にして、50周年記念作と銘打たれた最新主演作『ライド・オン』がついに公開されました。

僕はいわゆるジャッキー世代で、子供の頃からジャッキー映画をずっと観続けていますが、いまの令和の若者にとっては、ピンとこない存在かもしれないですよね。そこで基本情報を抑えつつ、ジャッキーがどれだけ偉大な映画人なのかを含めて解説していきます。

まずは新作『ライド・オン』。ジャッキーが演じるのは、かつて伝説的なスタントマンと呼ばれたルオ・ジーロン。寄る年波には勝てず、さらに映画界にCGが導入されたことによって生身のスタント仕事が廃れていったこともあり、いまは落ちぶれてしまっている。唯一残った資産といえるのは愛馬のチートゥ。家族はシャオバオというひとり娘がいますが、いろいろあって今が溝が出来てしまっているという状況です。

この設定はちょっとメタ的というか、実際のジャッキーの半生が投影されてるんですよね。同時に、映画に出てくるアクションに必然性と説得力が出てくる。70歳の老人がケンカが強くて小気味よく動けるというのは、普通だったら成立しないですけど、元スタントマンということで納得できるんです。

作品内で、イスを使ったアクションや、アクロバット的なカンフーで何人もの敵を倒していくなど、ジャッキーならではのアクションを披露してくれます。

確かに、現代のハイスピードで複雑なアクションと比べたら見劣りするかもしれません。だけど、ジャッキー世代にとっては最高なんですよね。

お正月に観る、海老一染之助・染太郎師匠の傘回しのような伝統芸能といいますか、思わず「待ってました!」と言いたくなる芸なんです。これがまた見られたという喜びもあるし、あと何年見られるのかなという寂しさも感じる。

ジャッキーも、宮崎駿監督ほどじゃないですけど、辞める辞める詐欺を繰り返しているんです。アクションはもうあと数作で止めるとカウントダウンを始めたり、2012年に公開された『ライジング・ドラゴン』では「アクション映画からは引退」と宣言したり。まぁ、宣伝が盛って言ってるだけかもしれないですけど、なんだかんだいってやり続けてくれている。


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