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UPDATE|2022/05/21

『ハケンアニメ!』吉岡里帆と中村倫也が体現するモノづくり現場で働く、心揺さぶる対照的な二人

(c)2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会


原作が連載されていたのは、アニメ雑誌ではなく、女性誌の「an・an」というのも意味深い。現実の厳しさが立ち塞がる世の中を突き進む主人公の姿が多くの共感を得たのではないだろうか。

ただ素晴らしい作品を作ったところで、観てもらえなかったに意味がない……。描いているのは、アニメ業界であっても、映画やテレビ、出版業界、一般企業にも共通する、「どの信念を貫いて、どこを妥協するのか」といった選択と葛藤の連続の中で成長する主人公を吉岡里帆が全力で演じきった。

一方で、天才監督と言われ続けるプレッシャーと、放送局との方向性の違い、無視できない視聴率、年々厳しくなるコンプライアンスなどによって、自由な表現ができないことに苦しむ王子千晴の視点からも描かれている。

この千晴というキャラクターは『セーラームーン』シリーズや『少女革命ウテナ』の監督として知られる幾原邦彦がモデルだ。幾原は2011年に『輪るピングドラム』の監督を務めるまで10年以上のブランクがあるが、これは単純に企画が通らなくなったことが理由だとされている。作中では短期間のように描かれているものの、スランプ状態から脱却する過程がリアルに描写されているのは、モデルがいたからこそなのだろう。

中村倫也の持つ独特な空気感が、多くを語らないために問題を軽視しているようにも思われがち。しかし実は必死に考えている……といった、言葉では表せない奥行を持たせることにも成功している。

さらには、現場で働く技術者からの視点、営業からの視点など、様々な視点が交差し、互いの想いがひとつになっていく。そしてそれは、本作を制作したスタッフの想いにもメタ的に通じることで、壮大なアンサンブルドラマを完成させたのだ。

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▼映画『ハケンアニメ!』
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