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UPDATE|2022/12/10

唯一無二の魅力、モーニング娘。 加賀楓が“苦労人”から愛されアイドルになるまで

モーニング娘。'22加賀楓 加賀温泉郷メモリアルフォトブック『加賀は引力』(オデッセー出版)



加賀はファンによって強力に支えられていた。そのパワーをまざまざと見せつけたのが、加賀温泉郷との強力コラボ実現だった。もともとは駅に貼られた加賀温泉郷のポスターに加賀ファンが反応し、SNSに投稿するなどのゲリラPRを展開。

これを機に「本人がポスターに登場」「加賀温泉郷観光大使に就任」「浴衣姿の加賀が満載の加賀四湯博のパンフレットが金沢公演で先行配布」「ウェブサイトやスタンプラリーなどのキャンペーンにも加賀を登用」「加賀温泉郷観光大使の継続を願う署名活動」など動きが急拡大していく。ファンの熱量が自治体を動かした稀有なケースとして、アイドル史に残る“事件”だったと言えるだろう。

「加賀さんって本当にみんなから愛される存在なんですよね。私も大好きだし、めちゃくちゃ仲よくさせてもらっています。加入したときは、どうしようもないくらい迷惑をかけてしまったんですけど……」

そう口を開いたのは北川莉央だ。加賀と横山の13期は、教育係として北川たち15期メンバーを指導していた時期がある。加入当時、15期3人の中で唯一の未経験者である北川はスキップもできない状態で、加賀は指導方法に頭を抱えた。

北川も「当時は周りのことすべてが嫌になっていました。『もうなんだっていいや』って破れかぶれになっていたんですよ」(『Top Yell NEO 2021~2022』/竹書房)と、練習を重ねても思うように上達していかないことに対する気持ちを振り返っている。

そんな北川を見て、「これはマズい」と感じた加賀は、普段は温厚な性格にもかかわらず、あえて厳しい言葉を投げかけて奮闘をうながすことにした。

「北川と同じオーディションを受けた人が今の北川を見たら、『絶対私のほうが踊れるのに』って思っているよ」

発破をかけられたこと北川は完全に覚醒した。その日から意識を改め、気がつけば歌割も多く獲得し、今では人気メンバーとしてグループを牽引する存在となっている。

「加賀さんがダンスを間違えるなんて想像つかないんですよ。リハが始まると、振りが入っていない状態がない。リハーサルがスタートした段階からすでに完璧なんです。もちろんそれはダンスのテクニックがあるからなんですけど、私が言いたいのはそこじゃなくて、練習に取り組む姿勢がすごいということ。加賀さんって自主練の鬼なんです。

加賀さんがいなくなることは、もちろん寂しくてしょうがないですよ。でもそんな中で自分ができることは、加賀さんに見せてもらった死に物狂いで練習する姿勢を引き継ぐこと。16期で入ってきた櫻井梨央ちゃんに続いて、近いうちに17期もおそらく入ってきます。加賀さんの背中から感じた“イズム”を伝えていきたいですね」

娘。の魂は輪廻転生する。最後に武道館で加賀はどんな生き様を見せてくれるのだろうか?
AUTHOR

小野田 衛


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