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UPDATE|2024/01/29

『不適切にもほどがある!』永遠の中坊男子クドカンが問いかける多様性

『不適切にもほどがある!』公式HPより

脚本:宮藤官九郎、主演:阿部サダヲによるTVドラマ『不適切にもほどがある!』(TBS系)の第1話が、1月26日に放送された。冒頭からけたたましい目覚まし時計のベルが鳴り鳴くと、いきなりこんなテロップが表示される。

【関連写真】阿部サダヲら『不適切にもほどがある!』出演者ビジュアル【5点】

“この作品には不適切な台詞や喫煙シーンが含まれていますが、時代による言語表現や文化・風俗の変遷を描く本ドラマの特性に鑑み、1986年当時の表現をあえて使用して放送します”

主人公の小川市郎(阿部サダヲ)は、ベッドに潜り込んだままの高校生の娘・純子(河合優実)を起こそうとするのだが、そこで交わされる会話は「おい!起きろブス!」だの、「うるせえなクソジジイ!」だの、口汚い舌戦バトル。別に朝から親子喧嘩をしている訳ではなく(いや、多少しているのかもしれないけど)、これが小川親子にとって普段のコミュニケーションなのだ。

中学校体育教師の市郎は、教室やバスでもガンガン喫煙するし、愛のムチとして体罰も当たり前だと考えているし、女性蔑視の発言も平気でする、典型的な昭和おじさん。2024年の視点で見るとかなりヒヤヒヤなのだが、38年という時間が経過して、それだけ我々視聴者の意識も大きく変容したということなのだろう。

そして、いつものように市郎がバスで帰宅していると、タバコを吸っている自分に周囲の人々が奇異の目を向けるし(当時はバスも喫煙可能だったのだ)、みんな耳にうどんのような謎のデバイスを挿しているし(もちろんワイヤレスイヤフォンである)、どうにも様子がおかしい。やがて市郎は、自分が2024年の未来にタイムスリップしたことを自覚する。『不適切にもほどがある!』は、昭和と令和のギャップをつまびらかにする、タイムトラベル・コメディだったのだ。
AUTHOR

竹島 ルイ


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