FOLLOW US

UPDATE|2024/03/08

モモコグミカンパニーが『解散ノート』を書いた理由「書けなかったら、この世界にいる意味がない」

モモコグミカンパニー 撮影/西邑泰和


もがいている自分をコンテンツとして面白がりながら書いていたが、忙し過ぎて一行だけの日もあった。だが書き続けることが重要だった。

「書かないと、その日あったことも忘れちゃう。たった一行でも、書けば思い出せるんですよね。解散後に、エッセイ形式で振り返る方法もありますが、それだと思い出が美化されちゃうだろうなと思って、リアルタイムで残していくことにこだわりました。本にする過程で文章は整えましたが、この日はなくすとか、この日を付け足すとかは一切していないんです」

解散ノートを書きながら、いかに自分にとってBiSHというグループの存在が大きかったかを思い知らされた。

「解散が自分の中で衝撃的だったのは、やっぱりBiSHというグループが大きかったからだと思うんですよね。BiSHを取った自分に何があるんだろう。自分とは何者なんだろう……。それを真剣に考えるきっかけを作ってくれたのが解散ノートでした。まだ小説も書いていなかったので、歌もダンスも得意ではない自分には何もなくて。逆に解散があったからこそ、小説を書こうって一念発起できたところもあります」

『解散ノート』には、渡辺淳之介と話し合う場面が何度も出て来る。そのときもらった数々の言葉が、胸に響いた。

「BiSHのオーディションを受けたときから、私にとって渡辺さんは輝いている大人でした。BiSHに入るまでの私は、普通の大学に通っていて、周りは就職や留学をする、みたいな。そういう場所にいたんですけど、オーディションを受けに行ったときの渡辺さんは30歳ぐらい。今思えば若いんですけど、こんなに楽しそうな大人が許されるのかと思ったんですよね。

生きるために頑張って働いて、やりたくないこともやるのが大人じゃないかと思い込んでいたので、大人の見え方を180度変えてくれた存在です。だから渡辺さんの言葉は、私にとってかけがいのないものでした」

2011年11月、渡辺に文春報道があった。事前に本人から謝罪があり、BiSHメンバー全員が責めることなく渡辺を許容した。だが彼女の中では、渡辺を責めてしまう気持ちが止まらなかった。
AUTHOR

猪口 貴裕


RECOMMENDED おすすめの記事