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UPDATE|2024/04/04

兄弟のほとんどが不慮の死…伝説のレスラー一家の呪いを描く『アイアンクロー』

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ジャイアント馬場やアントニオ猪木とも激闘を繰り広げたことで、日本のプロレスファンからも伝説のレスラー一家として知られてる”鉄の爪”ことフォン・エリックとその家族。同時に”呪われた家族”ともいわれている。そんな、エリック一家の呪いの正体に迫った映画作品『アイアンクロー』が4月5日より公開されている。

【写真】リングシーンも見事に再現、『アイアンクロー』場面写真【12点】

なぜ、”呪われた家族”といわれているのか。それは兄弟のほとんどが不慮の死を遂げているからだ……。

今作はそんなエリック一家の呪いの正体に迫った作品であると同時に、子どもは親の道具ではないということを強く訴えかけている作品だ。

子育てというのは、親の育て方や、その環境によって人格が形成されていく、一種の洗脳のような側面がある。

父のフリッツは悪役レスラーとして知られていたが、現役であることに限界を感じ、次第にその夢を息子たちに託すようになっていったことで、エリック兄弟たちも日常がレスリング中心に回っていることが当たり前の状態に。

音楽界やスポーツ界でも幼い頃から英才教育として子どもの歩む道を限定してしまう場合もあるが、そのなかで飛びぬけたスターになって、結果的に良かったと親に感謝する者もいれば、歩む道を限定されたことによって逃げ場のない人生となってしまったと思う者もいる。

ブロとして光輝けるのは、ほんの一握り。そこに賭けた代償を負うのは親ではなく子どもの方。

エリック兄弟の場合は、父が絶対的な存在であり、何をするにも父の顔色を窺う。しかし結果的に最悪の道を辿ることになった場合、それを受け止め続けてきたのは次男のケビンだったのだ。

ケビンは、父親からの圧力と兄弟への責任や罪悪感の板挟みにあうことで自分自身の精神も消費されていく。そんな環境でも父親を愛していないわけではない。そんなケビンの視点から物語が展開されていくのも特徴的だ。

父親は”家族”を望んでいるのではなく、レスラーとして巡業できる”ファミリー”を望んでいることに気付いていく…。というより、気づいていたけど、気づかないようにしていたことで招いてしまった最悪の結果に苦しむことになる。

そして今作で注目してもらいたいのは、CGかと思うほどに鍛え上げられたバキバキの肉体の裏にある繊細さでケビンというキャラクターを体現したザック・エフロンの演技力。ザックの役者人生にとって、間違いなく代表作になるに違いないだろう。


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